今回の耐寒性は、エケベリア属をピックアップします。
種類が豊富で、魅力的なグループですが、
そのぶん… 耐寒性に関しては、未知数だと思います。
そこで、管理人が栽培しているエケベリアになりますが、
「-7℃」まで屋外管理した結果を、いくつか紹介します。
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◆ 根本的な解決方法
「購入したエケベリアの耐寒性は、どれくらいなのか?」
これは、かなり… 悩みどころです。
はじめのうちは、色やフォルムで選ぶので、
耐寒性のことは、気にしないと思います。
色やフォルムで購入するデメリット
多肉栽培は、欲しい多肉を買って、
栽培を楽しむことが1番ですが…
「原種」と「交配種」の違いくらいは、知っておくと都合がよいです。
品種名では、ラチが明かない
購入したエケベリアは、
まず、品種名で検索すると思いますが…
メジャーな品種以外では、耐寒性の情報はヒットしない可能性が高いです。
数百とあるハイブリッドなので、
都度… 名前で検索していては、ラチが明きません。
解決法は「原種」を覚えること
原種とは… 各地で自生している在来種や、
交配されていない種になります。
エケベリアでは「アガボイデス」や、
「コロラータ」などがメジャーです。
交配種に比べると… 数は圧倒的に少ないので、覚えるのは簡単です。
エケベリアを覚えるなら、この1冊
「Guide To Echeveria」は、原種・交配種などのデータベースです。
学名や原種の表記があるので、
はじめての人でも、区別が付きます。
掲載数も盛りだくさんなので、まずは… 必須の書籍となります。
最新情報は、I.C.N
「International Crassulaceae Network」は、
海外のサイトですが、情報は常にアップデートされています。
「Guide To Echeveria」と合わせて検索してみると、
最新の情報をゲットできます。
こちらも、圧倒的なボリュームですが…
各地のブリーダーさんが作出した品種までは、網羅されていません。
International Crassulaceae Network
原種のステータスを引き継ぐ
交配種だらけのエケベリア属ですが、
先祖を辿れば、原種に行きつきます。
その原種の「顔」・「名前」・「耐寒性」を覚えれば…
続々と作出されるハイブリッドでも、
ある程度は… さばいていけます。
原種が弱ければ… 子孫も弱い
親の耐寒性は、子にも引き継ぐらしく…
もし、親が寒さに弱ければ、
子も、寒さに弱い傾向だと感じます。
弱いほうの親が、優勢っぽい
例えば… 寒さに強い親と、弱い親のハイブリッドでは、
後者の耐寒性を引き継ぐので、
寒さには弱くなる傾向だと感じます。
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▼ 原種 12選の耐寒性
続いて、よく交配の親として使われる、
メジャーな12の原種をピックアップします。
また、管理人の主観となりますが…
耐寒性のレベルに合わせ、3つのカテゴリーに分けて紹介します。
カテゴリー | 安心目安 | 限界目安 | 名前 |
---|---|---|---|
普通 | -3℃ | -5℃ | パリダ |
ラウイ | |||
やや強い [Part.2] |
-3℃ | -6℃ | カンテ |
シャビアナ | |||
セクンダ | |||
そこそこ強い [Part.3] |
-4℃ | -7℃ | アガボイデス |
エレガンス | |||
クスピダータ(サラゴーサ) | |||
コロラータ | |||
チワワエンシス | |||
プリドニス | |||
デレンベルギー |
ほかにも、個性的な原種がありますが、
この記事【Part.1】では、上記の中から…
厳しい寒さを苦手とする「普通タイプ」のパリダ、ラウイ、
合わせて、そのハイブリッドを紹介します。
Part.2 は、こちら
補足の原種
補足として… 下記の原種も掲載します。
耐寒性は、上記の2つと同じくらいだと感じます。
- プルビナータ
- ハムシー
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➊ パリダ
Echeveria. pallida
まずは、パリダです。
あまり、エケベリアっぽく見えないせいか?
日本では知名度が低い、原種の1つかと思います。
カクトロコさんで購入できますが、
店頭に並んでいる場合は、だいたい売れ残っています。
ダメージの目安
安 全 | ~ -3℃ | 水分が多めでも、傷みなし |
注 意 | -3℃ ~ -5℃ | 一部、傷む可能性あり |
危 険 | -5℃ ~ | 一部 ~ 全体の傷み。全損の可能性あり。 |
「-7℃」で、再起不能
エケベリア属は、比較的… どれも寒さには強い傾向ですが、
個人的にパリダは…
エケベリアのなかで、最もダメージを負いやすと感じます。
パリダの交配種
続いて、パリダの交配種になります。
また、参考として…
パリダの血が混ざってそうな品種も紹介します。
● アーリーライト
▲ 凍結前の写真
▲ 再起不能
「いとうぐりーん」さんの苗で、
情報はありませんが… パリダの色違いに見えます。
こちらも、助からずに再起不能です。
● ピーチプリデ
▲ 凍結前の写真
▲ 中ダメージ~再起不能
交配式の情報はありませんが、
パリダが混ざっている感じがします。
左側の小さい株は、再起不能となりました。
● ゴールデングロー
冬越し未経験になり… 交配式も不明ですが、
パリダが混ざっているようです。
茎は幹立ちしやすく… パリダとも似ている感じがします。
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● ダスティーローズ
こちらも、冬越し未経験になり… 交配式も不明ですが、
パリダっぽい葉のカタチをしていますので、
注意したほうがよい気がします。
名前が似ている「ダスキーローズ」
▲ 凍結前の写真
▲ 再起不能
名前もフォルムも似ているが「ダスキーローズ」。
こちらには、パリダの血は入っていないようですが、
凍ってしまったので、一緒に紹介します。
● パンジー
▲ 凍結前の写真
▲ 大ダメージ
詳しい情報はありませんが、
年間を通して、グリーンの葉色なので…
パリダが混ざっているかもしれません。
● プリンセスパール
▲ 凍結前の写真
▲ 中ダメージ
交配式の情報はありませんが、
パリダにフリルが付いた感じがします。
似たような交配種が、たくさんありますので、
木立したフリル付きのエケベリアは、注意したほうが無難だと思います。
● パールフォンニュベンブルグ
▲ 凍結前の写真
▲ 中ダメージ
パリダと近縁種らしい… 原種「ギビフロラ」と、
寒さには強い原種「エレガンス」の交配種。
こちらも、注意したほうがよさそうです。
● 白鳳
▲ 凍結前の写真
▲ 再起不能
白鳳は「パリダ」と「ラウイ」のハイブリッドです。
この次に紹介する原種「ラウイ」との交配なので、
「-7℃」には耐えられない血統といえます。
それでも「-4℃」くらいなら、耐えてくれます。
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➋ ラウイ
Echeveria. laui
もう1つは、ラウイです。
白いパウダーと丸い葉が特徴で、
こちらは人気のエケベリアとなっています。
ダメージの目安
安 全 | ~ -3℃ | 水分が多めでも、傷みなし |
注 意 | -3℃ ~ -5℃ | 一部、傷む可能性あり |
危 険 | -5℃ ~ | 一部 ~ 全体の傷み。全損の可能性あり。 |
「-7℃」で、再起不能
株は、10cm ほどのロゼットで、
そこそこの大きなサイズでしたが、
完全に枯れてしまっています。
もしかすると… 水やりの直後だったかもしれません。
ダメージを負うと、葉が変形しやすい
凍結でダメージを負った葉っぱは、
生き残っても… その後に、変形する場合があります。
最悪… 1年間ほどは、ブサイクなロゼットになってしまいます。
また、ラウイの交配種にもよく見られます。
ラウイの交配種
続いて、ラウイの交配種になります。
また、参考として…
ラウイの血が混ざってそうな品種も紹介します。
● ラウリンゼ
「コロラータ」の1タイプ「リンゼアナ」との交配種。
コロラータ自体は、寒さに強いのですが…
ラウイと交配すると、弱めになってしまうようです。
「-7℃」の様子
▲ 中ダメージ
▲ だんだんと下葉が枯れる
「ギリギリで耐えたかなぁ~」と思っても、
その後… ダメージを負った葉は、徐々に枯れていきます。
また、葉も変形し… 先細ったりするため、
奇麗なロゼットに戻すまで、時間が掛かってしまいます。
・ モンロー
▲ 凍結前の写真
▲ 中ダメージ
モンローも、ラウリンゼと同じ交配といわれています。
こちらも、凍結のダメージで、
葉がボコボコに変形しています。
● ラウィータ
こちらは「コロラータ」との交配種。
まだ、若い苗ですが…
ラウリンゼと見た目は、あまり変わりません。
「-7℃」の様子
▲ 中ダメージ
パッと見は、普通ですが…
外側の葉にダメージが見られます。
8ヶ月後の様子
凍結させても、それなりに育ちますが…
ロゼットのバランスが悪く、
凍結で変形した葉も、残っています。
「胴切り」して整えるのもよいと感じます。
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● アリエル
詳細は不明ですが、
ラウリンゼが、パープルっぽくなった感じです。
「-7℃」の様子
▲ 中ダメージ
外見でのダメージは見られませんが、
葉のパープル色が、消え去っています。
凍結の症状としては、このようなケースもあります。
8ヶ月後の様子
葉色は戻ってきましたが、
葉はいびつで、ロゼットも不安定です。
こちらも「胴切り」してしまったほうが、手っ取り早いと感じます。
● シャンペーン
引用元はありませんが「アガボイデス」との交配種といわれています。
ピンクやホワイトといった… いくつかのシリーズがあり、
見た目が似ていたら、注意が必要です。
「-7℃」の様子
交配相手のアガボイデスは、寒さに強いタイプですが、
シャンペーンは、あまり強くないと感じます。
凍結後は、時間の経過と共に、深刻なダメージが現れてきました。
写真の状態ならセーフ
▲ 凍結から、半年後の様子
凍結後は、かなり酷い状態でしたが、
成長点が無事であれば… 復活できます。
● アイスグリーン
引用元はありませんが「エレガンス」との交配種といわれています。
フォルムのベースは、
「エレガンス・ケッセルリンギアナ」っぽく、
さらに、ラウイの粉っぽさがミックスされた感じです。
「-7℃」の様子
エレガンスは、寒さに強いタイプですが、
アイスグリーンは、あまり強くないと感じます。
こちらも、かなりのダメージですが… のちに復活しています。
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◆ プルビナータ&ハムシー
補足としまして… 原種・プルビナータとハムシーを紹介します。
どちらもエケベリアでは珍しい、モフモフ系のタイプですが、
パリダと同様に、あまり人気は無いと感じます。
まず、プルビナータですが…
「錦晃星」と「フロスティ」の2タイプが流通しています。
❶ 錦晃星(きんこうせい)
E. pulvinata ‘Ruby’
過去には「熊童子」と同じ、コチレドン属だったようで、
それくらい、葉の質感は似ています。
錦晃星は… 本家のプルビナータより、赤く紅葉する品種のようです。
❷ フロスティ
E. pulvinata var. frigida
プルビナータの青白いタイプで、
個人的に、おすすめエケの1つです。
学名では…「フロスティ」の名前は、過去となったようで、
現在は「フリージダ」っぽい読み方の、名前が付いています。
「-7℃」の様子
▲ 錦晃星
▲ フロスティ
錦晃星は、ギリギリで生き残りましたが、
フロスティは、再起不能となりました。
寒さには、あまり強くないので注意が必要です。
・ ハムシー
E. harmsii
錦晃星と絶対に間違えるヤツですが、
ハムシーは、プルビナータとは違う原種となります。
見た目が同じなので、耐寒性も同じようです。
「-7℃」の様子
左のポットは無傷でしたが、
右のポットは再起不能となりました。
同じ多肉と環境でも、極端に差が出ることもあります。
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◎ 最後のまとめ
最後に、まとめますと…
原種の特徴を覚えてしまうのが、
冬越しで困らないための、恒久的な対策の1つとなります。
だんだんと、慣れてくる
様々なハイブリッドが販売されていますが、
どこかしら、原種の特徴が見られるタイプが多いので、
徐々に、目が利きようになってきます。
(まったく、分からないのもあります)
原種も、普通に販売されています
原種は、ネットショップでも販売されており、
価格は、250円~1,500円ほどが一般的です。
パリダ:250円ほど
ラウイ:1,000円ほど
できれば、原種を購入して栽培してみると、
その特徴が、頭に入りやすいと思います。
また、「Guide To Echeveria」や、
「I.C.N」を眺めていても、覚えやすいと思います。
パリダ、ラウイと、その交配種は注意
これまでに紹介しましたパリダ、ラウイと、
そのハイブリッドは、要注意なタイプですので、
もし、栽培中の場合は… 優先して、寒さ対策を行って頂ければと思います。