この記事は、セダム属「春萌【はるもえ】」の栽培記録です。
日本で流通しているセダム属は、原種が多いのですが…
春萌は異なるセダム通しの交配種となります。
特徴は両親の「いいとこ取り」で、爽やかな葉色が魅力的です。
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◆ 基本情報 |
春萌
科 | ベンケイソウ科 |
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属 | セダム属 |
品種名 | Alice Evans |
流通名 | 春萌【はるもえ】 |
アリスエヴァンス |
生育期 | 秋・春 |
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価格帯 | 300円前後 |
栽培難易度 | ★☆☆ |
増やし方 | 剪定&挿し芽 |
葉挿し |
セダム間の交配種
- 左)クラバツム
S. clavatum - 右)ルシダム(松の緑 or 松姫)
S. lucidum
春萌は「クラバツム」と「ルシダム」の交配種です。
クラバツムの爽やかグリーンの葉色に…
ルシダムの光沢感をプラスしたような雰囲気になります。
ちなみにルシダムには、少し葉の形状が異なる…
「松の緑」と「松姫」の2つがあります。
アプリコットドリームと同じ場合があり
本来のアプリコットドリームスは、I.C.Nによると…
春萌とは異なり、日本での流通も無さそうです。
見た目は似ていますが、花の様子や細部は異なっています。
ただ、日本では「春萌」でも「アプリコットドリーム」でも…
どちらを購入しても同じセダムだと思います。
ネット販売
カクトロコ | ハニーミント |
ストア内検索:春萌 |
※ 売り切れの場合あり
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◆ 季節の変化
夏
▲ 7月上旬
▲ 8月下旬
葉色(肥料・並) | グリーン系 |
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葉色(肥料・少) | 淡いグリーン系 |
ロゼット | 日照不足・水やりで広がりやすい |
備 考 | - |
冬
▲ 12月上旬
▲ 2月下旬
葉色(肥料・並) | 淡いグリーン |
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葉色(肥料・少) | 淡いイエローグリーン |
ロゼット | 丸まりやすい |
備 考 | - |
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◆ 購入時の写真と
1年後の比較
購入時の写真
購入日:2019.2 / 7.5cmポット
園芸店で購入したカクトロコさんの春萌。
2月に購入したので冬顔の状態です。
しっかり肥料が効いていると、冬でも綺麗なグリーンを維持します。
肥料が切れてくると、黄色っぽく変化するのが特徴です。
約1年後の比較
今回の春萌は、途中で病気を発症した為、大幅にスケールダウンしています。
繁殖力も強く育てやすいセダムですが、
病気になると立て直すのに時間がかかってしまいます。
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◆ 夏と冬の管理目安
冬の管理(屋外)
弱い -3℃まで |
強い -5℃まで |
とても強い 凍害なし |
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〇 | - | - |
多肉植物全体で比べると「弱い」タイプ。
目安としては「-3℃」までなら、凍害の影響はなし。
-5℃まで下がると一部で凍結がみられ…
-7℃では全体が凍結し、再起不能かと思います。
霜除け & 風除けは必須
屋外での管理では「霜除け&風除け」は必須です。
どちらかが未設置の場合では、上記の管理気温まで耐えられず…
霜害や凍害によるダメージを負いやすくなります。
梅雨 & 夏の管理
遮光(20~50%)
病気・害虫対策
徒長(水やり)
雨ざらし・風通し
高温(猛暑日)
高温・乾燥に強いタイプですが、朝から夕方まで…
丸一日、陽が当たる場合は50%前後の遮光が必要。
水やりは多肉の様子を確認しつつ「量 or 回数」を減らすのが安全です。
雨ざらしはトラブルの原因になりやすい
梅雨~初秋にかけては病気や葉蒸れ、徒長の原因となるため、
雨ざらしの状態を避けるのが無難です。
また、定期的に農薬を散布することで…
病気・害虫の被害も抑えられます。
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◆ 栽培メモ
1. 再発しやすい病気
▲ 斑点性の病気
管理人の環境下では、春萌は病気になりやすいセダムの1つです。
1度でも病気になると、毎年のように…
発病しやすいので、定期的な農薬の散布をおススメします。
「斑点性の病気」についてはこちら
2. 寒さに弱いタイプ
春萌をはじめ、親のクラバツムとルシダムも…
多肉植物の中では、寒さに弱いタイプに分類されます。
冬の最低気温は頑張っても「-5℃」が限界で…
なるべく「-3℃」までに抑えておくのが無難です。
黄色いロゼットは異常事態
多くの多肉植物では、水切れ or 肥料切れ、
さらに、高温障害 or 低温障害も加わると…
葉色の発色が極端に冴える場合があります。
本来の自然な紅葉とは異なりますが、人工的に作ることも可能です。
3. ロゼットが崩れる場合もある
冬顔と比べると、ある程度は仕方ないのですが…
梅雨から夏にかけてロゼットが崩れる場合があります。
ですが、冬に近づくと綺麗なフォルムは戻ります。
徒長もしやすい
日照不足に加え、水を与え過ぎると極端に徒長します。
上の写真はホームセンターの例ですが、
自宅での栽培も注意しないとスグに伸びてしまいます。
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◆ 栽培記録
2019.2 ~
主な栽培環境
● 陽当たり(晴天時)
5~7時間程度 / 1日
● 遮光(目安)
期 間 | 遮光率 |
---|---|
4月上旬 ~ 梅雨明け | 約20% ~ 約50% |
梅雨明け ~ 10月上旬 | 約50% |
10月上旬 ~ 11月下旬 | 約20% |
11月下旬 ~ 4月上旬 | なし |
● 雨対策 有り
年間を通して、基本的に雨で濡れることはありません
● 凍害(霜・風)対策 有り
冬季の夜間は、基本的に霜・風に当たることはありません
使用する土、肥料、農薬
● 植替えの土
多肉植物の土【プロトリーフ】
(※ 元肥を含む)
● 追肥(目安)
植替えから1年後に適量
● 殺菌・殺虫剤(目安)
薬剤名 | 使用量 |
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オルトランDX粒剤 | 毎年、春に1回 |
ダコニール1000 | 毎年、軽く散布 |
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2019-春・夏
栽培記録
春 シーズン / 2019
3月上旬 春萌を購入
▲ 7.5cm ポット / 250 円
園芸店で購入したカクトロコさんの春萌。
多肉植物は全体的に、葉の彩度&明度が低めで…
遠くから観ると暗く見えてしまいますが、
春萌は発色がよく、明るいグリーンが特徴的です。
4月下旬 春の様子
春になり陽射しが徐々に強くなると、
葉の先端はピンクに色づきやすくなります。
葉挿しを行う
▲ 0/4で不発
下部の葉のせいか、今回はすべて不発でした。
セダムの葉挿しを行う際は、黄色っぽくなった葉より…
濃いグリーンをした栄養満点の葉を使ったほうが成功率は上がります。
夏 シーズン / 2019
7月下旬 梅雨の様子
梅雨明けの7月下旬です。
徒長もなく元気に育っています。
下葉が枯れやすくなる症状
この頃から下葉の枯れるスピードが…
早くなってきたような感じがします。
8月下旬 斑点性の病気に気付く
前回から1ヵ月が経ち、8月末になります。
葉が枯れるスピードは増して、次々と落葉していきます。
褐色の点々があらわれる「斑点性の病気」
▲ 初期症状
「斑点性の病気」とは、下の葉から…
褐色の点々があらわれ落葉する病気の総称です。
放置すると上の葉に次々と感染が拡大します。
斑点性の病気について
病気っぽい葉を除去
だいぶ寂しい姿になってしまいましたが…
感染した葉を取り除き、様子を見てみます。
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2019-秋・冬
栽培記録
秋 シーズン / 2019
10月上旬 病気の勢い止まらず
秋になり気温が下がってきたものの、
感染がとまらず上へ上へと被害が拡大します。
葉挿しもダメ
夏に取り除いた葉になりますが、
病気にかかると「葉挿し」の成功率も極端に低下します。
9月下旬 植替えを試す
▲ 根っこは元気
▲ 土は「多肉植物の土」
当時、この病気の対処法が解らなかったので…
とりあえず植替えを行っています。
10月上旬 さらに悪化
落葉しながら、上へと感染が拡大中。
もう完全にヤラれているようで、止まる気配がありません。
「胴切り」を行う
そろそろ諦め時かと思い、最後に「胴切り」を試しています。
11月上旬 棒から芽がでる
以外にも、枯れると思っていた短い幹で新芽を確認。
今回は棒状になっても芽が出てきましたが…
ケースバイケースで100%芽が出るとは限りません。
カットした穂は行方不明
期待していたのは、カットした挿し穂だったのですが…
発根待ちの際に行方不明となりました。
1寸サイズを追加購入
▲ 150円 3cmポット
▲ 7.5cmポットへ鉢増し
園芸店で、カクトロコさんのミニ苗を追加購入です。
風で倒れやすいので、そのまま7.5cm ポットへ移動。
2ポットで、冬へ…
斑点性の病気ですが、気温の低下に伴って病原菌の活動は停止します。
ですが、冬の間は潜伏して生き延びるため…
1度でも病気にかかった株は、翌年も発症する確率が高まります。
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冬 シーズン / 2019
12月上旬 葉焼け
▲ 葉焼けで、色が悪くなった芽
12月ですが、まさかの葉焼けでダメージを負いました。
小さな芽にとって、急な直射日光は侮れません。
1月上旬 冬の様子
▲ 葉焼けのダメージから回復
1月は「-4℃」まで下がることが度々ありましたが、
凍害の症状はなく元気に育っています。
また、小さな新芽も葉焼けから回復を確認。
2月中旬 一部凍結を確認
▲ 凍結でまだら模様
▲ 冷たい風に当たった状態
全損しなかったのが幸いでしたが、
-7℃は厳しかったようで、下の葉が凍結してしまいました。
屋外管理なら、頑張っても「-5℃」までで…
「-3℃」なら安心かと思います。
「霜」&「風」の対策が必要
屋外管理での注意ポイントは、
野ざらしの状態で、庭などに放置しないことです。
霜除けと風除けが無い場合では、同じ気温でも…
凍害が発生する確率が上昇します。
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2020-春・夏
栽培記録
春 シーズン / 2020
3月下旬 順調に回復
その後の凍結は持ちこたえ…
傷んだ痕は残っていますが、だんだんと大きく育っています。
5月中旬 春の成長
葉の枚数も増えて、より春萌らしい姿に成長中です。
今年は念のため、殺菌剤のダコニールや…
ベニカを適当に散布しています。
夏 シーズン / 2020
7月上旬 今年は病気にならず
適度に殺菌剤を散布した効果があったのか…
現状、斑点性の病気を発病していません。
再発の可能性もあるので、予防は大切
この春萌は大丈夫でしたが、別のセダムは再発したので…
念を入れて殺菌剤の散布がおすすめです。
8月中旬 夏の様子
まだまだ、暑い日が続きますが…
この時期までくれば、ひとまず安心できそうです。
フォルムは、いまいちな感じ
日照が少ない梅雨では、ロゼットのバランスが崩れる場合があります。
こればかりはどうしようもないので、
秋に戻ることを期待して管理します。
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2020-秋・冬
栽培記録
秋 シーズン / 2020
9月上旬 ここにきて再発
今年は大丈夫かと思っていましたが、
1ポットのみ、斑点性の病気が再発です。
農薬の散布は、繰り返したほうが無難
農薬の散布は、春に1回行えば十分な感じもしますが…
夏の終わりまで、定期的に3回ほど撒いたほうが無難です。
特に病気にかかっている株は、
再発の可能性が高いので、定期的な散布をおススメします。
10月下旬 病気は収まる
病気の発症が夏の終わりであれば、
秋になって気温が下がるため、影響は限定的です。
12月上旬
この時期なら完全に菌の活動は収まり、株は復調傾向となります。
2月上旬 低温障害
春萌の場合は、肥料切れで黄色っぽく葉色が変わります。
また度々、凍害が発生する限界付近で管理しても黄色っぽくなります。
どちらも合わさると、黄色の春萌に変わりますが…
一時的な症状なので、本来の紅葉とは異なります。
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2021-春~冬
栽培記録
21年度はダイジェストで紹介
5月上旬 仕立て直し
6月上旬
7月上旬
8月中旬 今年も発病
今年は大丈夫かと思いましたが、ここにきて再登場です。
一応、ダコニールをスプレーしておきましたが、
既に手遅れなので、効いてはいないと思います。
10月上旬
昨年と同様に発病したものの、夏の終わり頃だったため…
その後の気温低下で、病気の進行は止まっています。
12月中旬
2月上旬
いつも通り、気温が下がれば元気に復活します。
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2022-春~冬
栽培記録
22年度もダイジェストで紹介
5月上旬 仕立て直し
茎が伸びてきて、ポットからも飛び出し始めたので仕立て直しです。
別で管理していた株も合わせ、木箱にまとめています。
7月上旬
今年も病気の季節がやってきましたが、
今のところは未確認です。
8月中旬 3年連続で発病
例のごとく、夏本番で発症してしまいました。
今年も農薬の散布は、春に1回ほどだと思います。
分かっていてもサボってしまうのが農薬散布です。
これはハダニの症状
さらにプラスして、今年はハダニの被害もありました。
葉が黒く変色するのは、斑点性の病気と同じですが…
こちらはハダニの症状となります。
よく近くで見ると、小さなオレンジっぽい色のハダニが付いています。
10月上旬 仕立て直し
またまた小さくなってしまったので、ここで仕立て直しです。
底の薄いトレーに移動
未発根の苗を植える場合は、それほど土の量は必要ありません。
土の深さは4cmもあれば十分なので、
プラグトレイや育苗箱のようなトレーのほうが便利です。
葉挿しの様子
今回の葉挿しは、ほとんど発根しましたが…
発芽までした葉は少なめでした。
12月中旬
2月上旬
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最終更新(’23.3)
3月下旬
今年こそは「斑点性の病気」を抑え、夏を乗り切りたいところです。
ですが、初夏までは何事も無く元気に育つため…
ついつい病気対策は手を抜いてしまいます。
もし、この病気になってしまったらダコニール1000を…
春~夏まで定期的に散布することをおススメします。
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この後の栽培は、繰り返し
▲ 購入時の様子(7月)
▲ 約3年後の様子(5月)
この後も同じようなサイクルで育ちます。
病気と寒さに注意すれば増やしやすいセダムです。
病気になっても枯れ切ってしまうことはありませんが…
翌年からは春~夏にかけて、定期的な農薬の散布をおススメします。
以上、セダム属「春萌」の栽培記録でした。