この記事は、多肉植物の…
梅雨も含めた、夏の管理(夏越し)について紹介します。
梅雨・夏は難しいとされる多肉ですが、
適正な水やりと、環境を整えてあげることで、
それほど気を遣わずに、夏の栽培を楽しめることができます。
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◆ 実例の紹介
本題の前に…
梅雨と夏の管理で失敗した、
3つのケース紹介します。
❶ 梅雨入り後に、徒長したセダム
左:正常 / 右:徒長
梅雨入り後は、一気に日照時間が激減するので、
水の与え過ぎには注意します。
特に中粒のセダムは、あっという間に徒長します。
徒長で枯れることはありませんが、注意したいポイントになります。
❷ 真夏の水やりで失敗
左:正常 / 右:枯死
8月の酷暑日に、水やりで失敗し、
茎や先端の成長点が腐ってしまいました。
外側の葉がキレイであっても、既に死んでいます。
❸ 屋根なし、遮光なし… で失敗
左:正常 / 右:枯れる寸前
上の写真は、まだ5月上旬のものですが、
運が悪いことに…
・ 雨 のち 晴れ という天気
・ 30℃を超える夏日
・ 遮光&屋根は、なし
このトリプルコンボで、その当日に逝ってしまいました。
葉っぱの間や窪みに水滴が残っていると、
猛烈な太陽光で、多肉が茹で上がってしまうこともあります。
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このように… 夏の管理方法を知らなかったり、
雨の対策を怠れば…
あっという間に、全滅させてしまう可能性もあります。
▼ 夏の準備 4つ
多肉植物の栽培で、夏を無事に乗り切るには…
下記の4点を準備します。
- 多肉植物の性質を知る
- 遮光を行う
- 夏の水やりの方法を知る
- 雨に濡れない軒下を選ぶ
春から、多肉栽培をはじめた方には、
ちょっと、忙しいスケジュールですが…
事前にポイントを抑えておくことで
夏は夏なりの、多肉栽培を楽しむことができます。
【重要】 最後は、自分で調整する
夏の管理方法の正解は、1つだけではありません。
自分の理想に近い感じで、夏を越せればOKなので、
正解は、人それぞれです。
慣れるのが、最短の道
事前に知識を付けておくのは大切ですが、
テキストや動画の解説だけでは、実際の感覚は身につきません。
1年目は夏は、常に不安だと思いますが、
無事に乗り切って、自信をつけるのが1番です。
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それでは、夏の準備 4つのポイントを1つづつ紹介します。
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❶ 多肉植物の性質を知る
夏の管理には、多肉の性質を知っておく必要があります。
春は、調子よく育っても…
梅雨入り頃から、管理がシビアになってくるからです。
多肉の性質を知らないと、夏は越せない
多肉植物の成長にも「ON」と「OFF」があります。
多くの多肉では、夏はOFFシーズンなので…
大きく育つことはなく、現状維持の状態が普通です。
夏は、秋に備えるシーズン
多肉植物の成長は、1シーズンごとに… ONとOFFを繰り返します。
・ 春 on
・ 夏 off
・ 秋 on
・ 冬 off
OFFシーズンの夏は、秋に備えて…
健康な状態をキープするのが目標となります。
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夏型の植物と、混同してはダメ
無意識にやってしまいがちなのが、
夏に成長する植物と同じように、管理してしまう事です。
ヒマワリなど… 夏に花を咲かせる1年草や、
高温多湿を好む観葉植物と、同じ感覚で管理しては、
多肉植物を枯れせてしまう確率が、大幅に高まりますので、
多肉は多肉の管理方法を守ります。
夏は、水やりの回数を減らす
一般的な草花の感覚ですと、
暑くなるほど水やりの回数を増やす傾向がありますが、
多肉植物は、量や回数を減らしていきます。
多肉は乾燥地帯に生息する植物なので、水切れに強い性質を持っています。
栽培カレンダーは、必須
ビギナー向けの多肉植物の書籍には、
多肉のグループ別に「栽培カレンダー」が掲載されています。
その内容を確認しつつ、栽培するのがオススメです。
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夏の管理は、梅雨入りから始まるので、
基本的な多肉の知識を、ある程度… 押さえておく必要があります。
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❷ 遮光を行う
遮光とは… 日光を軽減させることですが、
水やりと同様に… 超・重要な管理手段の1つです。
最悪… 遮光だけしていれば、
水やりを行わなくても、夏を越せる可能性は高いです。
水やりを優先させて、枯らせる真夏
一般的な草花のイメージは、遮光より… 水やりに精を出す感じですが、
多肉植物の場合は、遮光あっての水やりです。
遮光せずに、水を与え続けると、高温や多湿によってダメージを負います。
優先順位は… 遮光 ⇒ 水やり
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遮光の目的は2つ
- 直射日光による、葉焼けの防止
- 光量を軽減して、周辺温度の低下
このあたりは人間と同じで、
直射日光で日焼けをすれば、肌に大ダメージを負いますし、
涼しい木陰のほうが、過ごしやすいはずです。
多肉自体も、パウダーやワックスを葉の表面に作り出し、
自前の遮光で頑張っていますが…
それでも、栽培者側で遮光環境を整えてあげます。
大雨・水やりの事故を激減できる
遮光するメリットは…
雨で土が水浸しになったり、
過剰な水やりを行ったときの保険になります。
遮光をすれば、輻射熱での温度上昇も抑えられますし、
多肉周辺の温度も下げられるので、高温で蒸れる可能性は激減します。
真夏は50%くらいがオススメ
人によって、遮光率の好みは違うと思いますが、
50%ほどが無難だと思います。
50%といっても… 直射日光の半分なので、だいぶ明るい空間です。
遮光率が表示された、遮光グッズがある
モノは何でもよいのですが…
はじめは、遮光率が表示されているほうが便利です。
慣れてきたら、遮光率は好みに変更してよいと思います。
屋根が無ければ、PEシートで一石二鳥
この後の【❹ 雨に濡れない軒下を選ぶ】と絡みますが、
屋根が無い場合なら…
半透明のポリエチレンシートを使うと、
雨除けを兼ねて… 遮光もできるので、一石二鳥です。
屋根代わりにするなら、こっちがオススメ
遮光といえば… 寒冷紗や不織布といった、
メッシュ状の生地が定番ですが、
屋根代わりにするなら… PEシートが便利だと感じます。
遮光は、春・夏・秋と継続
5月頃から陽射しが強くなるので、
25%前後の遮光を行い、
梅雨明け後は、50%に変更するケースもあります。
面倒なら… 常時25%や、冬以外は50%などでもよいと思います。
途中で、遮光を外さない
梅雨時の曇天続きなら、陽射しが貴重になりますが…
その際でも、遮光はキープして、
強烈な陽射しを浴びないように注意します。
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実害を目の当たりにしないと…
なかなか、遮光の必要性を感じられないのですが、
特に夏の環境対策としては… 遮光が重要になります。
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❸ 夏の水やりの方法を知る
続いて、夏の水やりです。
夏の水やりは、冒頭で紹介したエケベリアのように…
量やタイミングを間違えると、多肉を枯らす原因になります。
梅雨入りから、少量で大丈夫
多肉植物は、乾燥に強い植物です。
1週間以上… 水を与えなくても、
草花のように、シワシワになって下を向くことはありません。
それでも、ジワジワと水分を失う
とは言っても… 徐々に水分は抜けてしまうので、
どこかで、水やりをすることになりますが…
その際に、注意ポイントがあります。
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真夏は、高温の蒸れに注意する
夏の場合… 晴天時の日中に水やりを行うと、
土中の水分がお湯になって、葉や茎の細胞を痛めます。
それが致命傷となり、株全体が枯れてしまいます。
水を与えれば、多湿になるのが普通ですが、
真夏の直射日光の元では、お湯のような多湿になるので危険です。
対策は、とても簡単
- 水やりは、夕方以降にする
- 一度に、大量の水やりを行わない
太陽の輻射熱が消え、気温も下がる夕方以降なら、
安心して水を与えることができます。
また、与える水の量も抑えることで、
土の乾燥も早くなり、高温で蒸れる心配もなくなります。
遮光の保険もある
多少、水やりがルーズになっても、
遮光をしていれば…
そうそうダメージを負う心配はありません。
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要領を掴みにくい夏の管理ですが、
遮光に加え… 水やりの調整も行うことで、
多肉を失う確率は、大きく低減します。
❹ 雨に濡れない軒下を選ぶ
水やりは、栽培者がコントロールできますが…
その後、雨で濡らしてしまっては、
水やりに気を遣った意味がありません。
軒下の重要性は、夏になって気付く
▲ 雨で徒長した「秋麗」
屋根が無く、雨の影響を受けると…
日照が短い梅雨時では、徒長しやすくなります。
また、真夏では… 蒸れてダメージを負うこともあります。
できる限り…
軒下での管理がオススメ
普通の住宅でベストな軒下といえば… ベランダだと思います。
ベランダは、透明な屋根が付いているケースが多く、
陽射しを浴びつつ、雨をしのげるからです。
理想は、ベランダのような透明な屋根を持つ場所
実際… ベランダのような環境を構築するのは難しいので、
半透明のポリエチレンシート(PEシート)を、
屋根代わりにしても十分です。
目的は、適度な光を通しつつ… 雨をしのぐことなので、使い方は臨機応変でOKです。
遮光も兼ねるので… とても便利
PEシートは、遮光も兼ねることができるので重宝します。
遮光率は、モノにもよりますが…
25%~50%ほど、あると思います。
突風で、飛ばされないように…
▲ ハトメがあるタイプがオススメ
縁にハトメがあるシートなら、
近くの構造物と繋いだり、地面にアンカーも打てるので、
突風で吹き飛ばされにくくなります。
雨が溜まらないように注意
PEシートを屋根代わりに使用する際は、
実際の屋根と同じように、勾配を付けて…
雨が上から下へと流れるように設置します。
または、雨水が溜まらないように注意します。
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陽が当たる軒下を作るのは大変ですが、
天気の急変で心配することもありませんし、
雨の事故で苦労することは無くなります。
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◆ 【備考】土選び・風通しなど
夏の管理において、土選びや風通しの件も気になるかと思います。
個人的な感想になりますが…
これらは、それほど気にしなくて大丈夫だと感じます。
❶ 土・ポット選び
土もポットも、様々なタイプがありますが、
「遮光」と「水やり」さえ適正であれば、
保水性の高い土や、黒いプラポットを使っても、まったく問題ありません。
❷ 夏の気温について
近年は、40℃越えも珍しくなくなってきましたが、
こちらも、遮光さえ行っていれば…
暑さに強い多肉植物なので、まだまだ大丈夫そうです。
屋外管理が前提です
❸ 風通しについて
屋外であれば、風通しは問題ないと感じます。
逆に… 屋内管理で、
窓を締め切りの状態にしてしまうと、厳しいかと思います。
❹ 病気や害虫について
こちらも、環境によって異なってくると思いますが、
基本的に、病気も害虫も…
「オルトラン」と「ベニカ」の2つで対応できる感じがします。
梅雨入り前に、散布して予防するのがオススメ
❺ フォルムが崩れるのは、仕方なし
左:夏 / 右:冬
多肉植物によっては、徒長ではなく… 自然とフォルムが崩れてしまいます。
主に、葉の薄いエケベリアですが、
ロゼットが開いて、締まりのない感じになります。
このあたりは、多肉自身の夏対策だと思いますので
冬になれば、ギュッと中心に寄ってきます。
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◆ 最後のまとめ
重要なポイントを再確認すると…
- 梅雨入りしたら徒長に注意
- 夏の多肉はOFFシーズン
- 他の植物と混同しない
- 夏の目標は、現状維持
- まずは、遮光が大事
- 水やりのタイミングは、夕方以降
- 水やりの量は、控えめ
- 軒下での栽培がオススメ
- PEシートの簡易屋根は便利
優先順位を付けるなら… 環境から整える
個人的な感想ですが…
「水やり」や「ポット・土選び」で、試行錯誤するよりも、
遮光して、雨対策をしたほうが…
トラブルに合う確率は低いと感じます。
1年目の夏は、誰でも難しい…
夏が難しいのは… やはり、経験不足だからです。
季節は年に1回しかやってこないので、
次の年には、そこそこ忘れてしまいます。
また、梅雨入りすれば… 春の成長シーズンから一転して、
多肉の管理はシビアになります。
梅雨の期間を含めれば… 夏は2ヵ月ほど続くので、
その辺りを、上手に処理する経験が必要になってきます。
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結局… 夏の栽培も慣れなのですが、
事前に管理方法を整理してから、
実践にチャレンジすると、覚えるスピードも格段に早くなると感じます。
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