丸まるとした鮮やかな多肉植物(特にエケベリア)を買ったものの、
梅雨入り頃から、色・形が変わり…
ちょっと残念な気分になってしまうこともあるかと思います。
それは「夏顔」といわれる、夏の姿に変わった状態になりますが、
今回は、その「夏顔」の特徴について紹介します。
記事の概要
- 夏顔は正常な状態
- 「夏顔」と「葉の伸長」の違い
- 夏顔を抑える方法
ポイント
例えば、エケベリアのロゼットは、
上の写真のように、夏はグリーンの葉に変わり、
梅雨頃から徐々にロゼットが広がるのも正常な変化です。
そして、冬になれば自然と丸まったロゼットに変わります。
それが、多肉植物の自然なローテーションとなるので、
夏は夏らしい「夏顔」を楽しむのがオススメとなります。
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◆ 夏顔は正常な状態
左:夏顔 / 右:冬顔
エケベリアをはじめ、常緑草の多肉植物は、
季節に合わせて、ロゼットの状態を変えながら成長します。
それが、いわゆる「夏顔」「冬顔」と呼ばれています。
「夏顔」と「冬顔」の違い
両者の違いは、ご承知の通り…
夏顔はグリーンの葉色がメインになり、
ロゼットも開き気味になります。
いっぽうの冬顔は、多肉を宣材写真でも使われる…
カラフルに紅葉してロゼットも引き締まった状態です。
変化の流れ
▲ シャルルローズ(3cm)
ここで「カット苗」を使って1つ例を紹介します。
エケベリアなどでは上の写真のように、
ポットや土が付属しない、カット苗と呼ばれる状態でも販売されています。
【参考】丸まる理由
例)親株から先端をカットした状態
カット苗が、簡単に丸まりやすい理由は、
元々、丸まりやすい先端部分をカットして…
「挿し穂」の状態で販売しているからです。
ロゼットが丸まる条件
- 冬のような寒さに当てる
- 水やりを控える
この2つの条件が揃うと、元の状態にも左右されますが、
ポットに植えてあるエケベリアでも丸まってきます。
最悪、水切れだけでも、
カットした「挿し穂」なら、よく丸まってくれます。
植え付け後の変化
▲ 5月上旬
▲ 7月下旬
▲ 10月下旬
▲ 12月上旬
▲ 2月上旬
▲ 4月上旬(1年後)
このように、どんな多肉植物でも、
また、カット苗を使ったとしても、
夏には夏顔になり、冬になれば冬顔になります。
これが普通のサイクル
多肉の特徴としては、冬は寒さでロゼットが閉じやすく、
夏は暑さでロゼットが開きやすくなります。
これは普通の成長サイクルで、見た目でも何の異常もありません。
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◆ 夏顔と伸長の違い
夏顔と紛らわしいのが、梅雨時に起こりやすい「葉の伸長」です。
セダムなどは、茎が伸びる「徒長」が目立ちますが、
エケベリアの場合は、茎はあまり伸びない代わりに、
葉っぱがどんどんと伸びてしまいます。
葉の伸長との違いは?
観た感じでは、夏顔の状態と…
葉が伸長した状態は、あまり変わらないと感じると思います。
そうなると、管理ミスによる葉の伸長なのか、
普通の夏顔なのか、なかなか、判断が付きません。
変化の例
▲ 5月上旬
ここで再びエケベリアを使って確認してみます。
上の写真は5月の状態で、
紅葉は冷めていますが、フォルムとしては整った状態です。
ちょっと伸長ぎみ
▲ 7月上旬
▲ 2月上旬
7月上旬の写真では「ちょっと伸びちゃったかな~」くらいの感じです。
そのまま育てた2月の写真では、
それなりの冬顔になりましたが、
夏に葉が伸び過ぎたぶん…
外葉の引き締まりが、足りないようにも感じます。
育て方で変わる
▲ 8月
▲ 12月
こちらは同じシルエットというエケベリアです。
同じ時期に撮影した写真ですが、
今回のほうが全体的に引き締まっている状態です。
栽培経験と慣れが必要
葉を伸長させないためには、知識にプラスして、
やはり栽培経験と慣れが必要です。
はじめは誰でも、思った以上に葉を伸長させてしまいます。
▼ 徒長の対処法と同じ
対策としては、主に水やりの仕方が重要になりますが、
この辺りも失敗して覚えられることも多いので、
多肉栽培は年々、上手くなっていくと思います。
伸びやすいタイプ
▲ 夏のカンテ
エケベリアの中には、特に葉が伸びやすいタイプがあり、
代表的なのが「カンテ」や「その交配種」、
また、葉の厚さが薄いエケベリアになります。
誰が育てても伸びると思う
カンテやその交配種を、冬顔のまま…
育て続けるのは困難です。
肥料の有無や、水やりレベルではなく、
どうやっても伸びるタイプだと感じます。
葉が垂れやすいタイプ
▲ サブセシリス
▲ ブルーバード
葉が垂れやすいタイプは、幹立ちしやすく…
葉が薄めのエケベリアです。
薄めの葉は、水切れさせると垂れ下がりやすく、
幹が伸びるぶんのスペースで、より目立ってしまいます。
剪定して整える
▲ before
▲ after
垂れた葉は、冬になっても元に戻りませんので、
他の植物と同様に剪定して整えます。
幹をカットすれば、親株からは脇芽が伸びるので、
多肉植物も基本的には、剪定すると増やすことができます。
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◆ 夏顔を抑える方法
▲ カラボニー(11月)
夏でも「冬顔っぽくしたい」という希望もあるかと思いますが、
実際には、冬季のような冬顔にはなりません。
どうしても紅葉は冷めてしまいますし、
「夏顔っぽいな~」という印象は拭えません。
フォルムなら調整しやすい
▲ カラボニー(8月)
夏では、紅葉期のような葉色へ変えるのは困難ですが、
引き締まったフォルムだけなら、
品種によっては調整しやすいと感じます。
上の写真は、どちらもカラボニーという品種ですが、
11月の様子より8月の写真のほうが、冬顔に近く見えます。
肥料を与えず、水やりを控える
夏顔になりにくい栽培方法としては、
冬顔の多肉を、肥料が入っていない土に植え、
水を切り気味に管理することで調整できます。
すでに肥料を含んだ土の場合なら、
肥料が抜けるまで1年ほど待ってみてください。
制限するデメリット
▲ 21年4月(花×1)
▲ 22年4月(花×6)
肥料&水やりを控えると、夏顔への変化を制限しやすくなりますが、
もちろんデメリットも有ります。
それは、栄養不足のため…
「株が大きくならない、繁殖させずらい、
花が咲きにくい」といった内容が挙げられます。
肥料を与えれば大きく育つ
▲ 23年4月
上の写真は、引き続きカラボニーです。
肥料を与えて育てたことで、前年とは違い…
葉色はグリーン寄りですがパワフルに育っています。
また、開花前に切ってしまいましたが、
2つの花芽が上がっています。
育て方は、人それぞれ
夏でも冬顔っぽくしたいなら、そのように調整できますし…
普通に育てたい場合でも、そのように調整できます。
これも経験と慣れさえあれば、
誰でも覚えることができるので、
様々なケースで栽培した人ほど、育て方の引き出しは多く身に付きます。
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【まとめ】夏顔は普通のこと
多肉植物は四季に合わせて表情を変える植物です。
葉の伸長や徒長との区別が…
分かりづらいこともありますが、
ロゼットが広がっても、大した問題ではありません。
それは冬になれば元に戻るからです。
極端な葉の伸長(徒長)には気を付ける
注意点としては、あまりにも伸長させ過ぎると、
誰が見てもブサイクな多肉見えてしまいます。
個人の感覚にもよりますが、
「ちょっと伸びたかな~」くらいなら大丈夫ですので、
その辺りは、梅雨・夏の水やりをマスターすることで解決できます。
▼ 梅雨・夏の水やり
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