多肉植物の、夏の水やりは…
春や秋と比べ、難しいとされています。
一般的な植物が、夏に向けて水やりの回数を増していくのに対し、
多くの多肉は、水やりの頻度を抑えるからです。
今回は、そんなギャップを感じる、夏の水やりについて紹介します。
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◆ 夏の、水やりについて
▲ 多肉植物の夏は、水やり控えめ
どんな植物でも、水は必要なので、
季節に関わらず、水やりをするのは当然です。
ただ… 多肉植物の夏はOFFシーズンのため、
それほど、水を必要としません。
夏は、水やり事故に注意する
どうしても、植物には…
「水をたくさん与えたほうが元気に育つ!」というイメージがあるので、
なんとなく、水を与えがちです。
ですが、夏の多肉植物の場合では… 徒長を招き、
最悪… 高温多湿による蒸れで、多肉を枯らせてしまいます。
【警告レベル】梅雨時の徒長
左:通常 / 右:徒長
徒長【とちょう】とは…
日照不足のため、通常より茎が伸長してしまう現象です。
さらに、日照不足の状態から水やりを行うと、
写真(右)のように、とんでもなく茎が伸びてしまいます。
徒長で、多肉植物が枯れることはありませんが、
なるべく奇麗なフォルムを保てれば、秋からの成長期もより楽しめます。
【危険レベル】真夏に起きる、高温多湿
特に問題なのは… こちらのほうです。
土は、水分と肥料分をキープする役割なので、
水やり後では、多くの水分が土の中に残っています。
車内のように高温になる
真夏の直射日光を浴びれば… ポット内の水分は、
車内に放置したペットボトルと同じように、
お湯に変わってしまいます。
これが致命傷となり、根っこや茎が壊死します。
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以上のように、
水を過剰に与えてしまった際の事故を防ぐため、
「梅雨入り ~ 9月中旬頃」までを、
夏の水やり期間として、注意する必要があります。
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▼ 注意する事は、2つ
夏の水やりといっても、やることは簡単です。
- 与える水の量を減らす
- 夕方以降に水やりを行う
この2つだけを意識すれば…
夏に、多肉を枯れすことはありません。
特に❶ の「与える水の量を減らす」は必須となります。
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続いて、もう少し詳しく紹介します。
❶ 与える水の量を減らす
水やりの事故を減らすには、水を与えないのが一番ですが…
さすがに、それでは厳しい多肉もでてくるので、
与える量を調整していきます。
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例えば… 春や秋に、
週1回ほど、たっぷりと水やりをしていた場合なら、
- スパンは変えずに、水量を1/3くらいに減らす
- 量は通常と同じで、スパンを3倍に伸ばす
以上のどちらかで、対応することになりますが、
オススメは、❶ の水量を減らす方法です。
水量を減らす方法がオススメ
水量の目安は、ポットのサイズに対して… 半分から1/3ほど
たっぷりの水やりに比べると、
だいぶ少なく感じますが… 土が乾くスピードも早いので、
高温多湿によってダメージを負うことはなくります。
6cm ポットなら、半分くらいでよいと思います
水やりの満足感もある
植物に水は付きものなので、
なんとなく… 与えたくなってしまいます。
多肉は乾燥に強いので、サボっても大丈夫なのですが、
心理的に安心を求め、水を与えてしまいます。
ですので、少ない量を定期的に与えるほうが、楽しく栽培できると思います。
間隔は、様子を観ながら考える
水が少ないぶん… 乾燥するペースが速まるので、
スパンは、多肉の様子を観ながら決めることになります。
このあたりは、慣れの問題もありますが…
- 梅雨の曇天が続くなら、5日以上で1度
- 8月の晴天が続くなら、2、3日に1度
これくらいから、様子を伺ってみるのがよいかと思います。
また、葉がシワシワになるほど乾燥していれば…
シワが戻るまで、毎日… 水を与えてもOKです。
肝心なのは、1発でドカンと与えない事
スパンを伸ばす方法は、中級者向け
こちらの方法は、多肉の性質を理解して、
1度でも夏越しを経験した人に向いています。
また、多肉の状態から水やりのタイミングを判断できる人です。
メリットは、水やりの回数を減らせるので、
そのぶんの空いた時間を作れることになります。
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通常の水やりのセオリーでは、
「土が乾いたら、たっぷりと与える」ですが…
夏の多肉植物は例外です。
乾燥に強いのが多肉なので、その性質を信じて…
慣れるまでは、控えめの水やりを徹底します。
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❷ 夕方以降に水やりを行う
夏の水やりには、もう1つポイントがあります。
それは、水やりのタイミングです。
真夏の水やりは… 夕方以降へシフトチェンジ
同じ夏でも、梅雨時の曇天であれば… 気温が上がらないので、
昼夜を問わず、いつでも水やりを行えます。
ですが… 梅雨明け後は一転して、
厳しい暑さと、強烈な陽射しが降り注ぐので、
そこで、蒸れさせてしまう可能性があります。
簡単に、まとめると…
- くもりの日:いつでもOK
- 炎天下の日:夕方以降がベスト
炎天下でも、少量の水やりであれば問題ありませんが、
涼しくなる夕方以降に行うのがベストになります。
また、多肉は夜間に気孔を開くので、水の吸い上げもよくなります。
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◆【補足】遮光と、屋外管理は重要
これまで、夏の水やりについて紹介してきましたが、
真夏の管理(夏越し)という点においては、
水やりだけの問題ではなく… 環境を整えることも重要です。
❶ 遮光は、必須
近年は40℃近い酷暑も珍しくなくなりました。
ですので、陽射しを軽減する遮光は必須で、
人にもよりますが… 50%ほどの遮光率が安心だと思います。
❷ 屋外での、風通しも必要
通常… 多肉植物は、
屋外や窓際で管理するので、問題ないと思いますが、
風通しがあれば、気温や湿度も下がり…
乾燥も早くなるので、水やりのリスクも軽減します。
【失敗例】炎天下の水やりで、ご永眠
危険な組み合わせは…
「遮光なし + 日中の炎天下 + 水やりMAX」です。
これをやってしまうと、茎や根が蒸しあがり、多肉は逝ってしまいます。
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夏を無事に乗り切るには、
水やりだけではなく、遮光と風通しも大切です。
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◆ 夏の水やり… こんなときは?
❶ 日中に、どっぷりと水を与えてしまった
日中に「水を与え過ぎた!」と思ったら…
なるべく早く… 日陰に移します。
遮光を行っていれば、そのままでも大丈夫だと思いますが、
太陽が傾くまでは、念のため日陰に移しておきます。
必ず、蒸れてしまう訳ではない
日中の水やりは、必ず蒸れてしまう訳ではありません。
遮光さえしていれば、蒸れない場合もよくあります。
そのあたりは… 当日の気温であったり、風の強さにも影響されます。
❷ 心配なら… 水やりOK
「よく分からないけど… 心配だから水をあげたい!」
という不安があるかもしれません。
そんなときは、与えてしまってOKです。
真夏でも「夕方 & 控えめの水量」なら、蒸れてしまうことは… そうそうありません。
残念ながら… 弱ってしまう多肉もある
▲ 1株だけ弱った、樹氷
3株うち… 1株だけ弱ってしまいました。
きっちりと遮光されていなかった事が、原因かもしれませんが、
なかには… 体長を崩す多肉もあります。
❸ シワシワになるまで、控えるべきか?
▲ 紫麗殿【パキフィツム属】
多肉の葉はシワシワになっても、水やりで元に戻ります。
セダムやパキフィツムなどの、肉厚な葉を持つ多肉ほど、
水切れに強く、夏でも… なかなかシワが寄りません。
シワの発生を、水やりサインにするのもアリ
シワが寄れば、完全に水やりのサインなので、
そこまで待ってみるのもアリだと思います。
ですが… 葉が薄めの多肉植物もあるので、そこは注意します。
葉が薄い多肉植物は、触って確認
▲ ミセバヤ(ヒダカミセバヤ)
ミセバヤは、葉の薄い多肉植物(宿根草)です。
他の肉厚な多肉とは異なり、
乾燥しすぎると… シワが入る前に、下の葉から枯れてしまいます。
触って、葉の弾力で確かめる
▲ 感触で水やりの有無を判断する
葉をつまんで… 硬ければ、水やり不要です。
柔らかければ… その日に水を与えます。
ただ… 葉の硬さ・柔らかさというのは感覚なので、
日頃から葉にさわり、硬い・柔らかいを区別できることが大切です。
硬さ・柔らかさの区別は、他の植物でも勉強できます
❺ 夏のために、土やポットを変更する必要は?
▲ ビニールポットでも大丈夫
これは、わざわざ変更する必要は無いと感じます。
土を都度… 交換するのは経済的ではありませんし、
ポットも、ビニールや黒いプラのままでも大丈夫です。
重要なのは… 夏の水やりを徹底することになります。
❻ 水やりは、臨機応変に…
夏の水やりは、セオリーはあるものの…
誰もが同じ環境で、同じ多肉を育てるわけではありません。
それゆえ、1つの情報だけでは、
万人を救えない場合も、少なからず出てくると思います。
その際は、いくつかの情報を手に入れて、
自分に合いやすい方法を、試してみるのがオススメです。
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◆【まとめ】夏の水やり
夏の水やり、最後のまとめ。
- 夏の多肉は、それほど水を必要としない
- 日照不足の際に、水を与え過ぎると徒長する
- 与え過ぎは、枯死させる原因をつくる
- 水の量は、ポットの半分から1/3くらいがオススメ
- タイミングは、夕方以降がベスト
- 遮光・風通しも、水やりと同じくらい重要
あとは、現場で慣れるだけ
夏の管理は、確実に遮光をして水を控えれば…
ほぼ大丈夫だと感じます。
一般的に暑い夏では、繁殖や植替えも行わないので、
作業としては楽なシーズンになります。
メンタルは、強く持つ
多肉を大切にするあまり、
どうしても、水やりが増えてしまう場合もあるかと思います。
徒長や、蒸れを起こしたら… まだ、我慢が足りません。
適正に水を控えるのは良い事なので、
自信を持って、水を控えていただければと思います。
また、秋まで無事に管理できたなら… それが正解です。
理想は、多肉の状態から水やりを判断できる事
水やりのサインを、わかりやすく伝えるには、
土の乾き具合で説明するのが最適です。
ですが、多肉植物は… 他の植物とは構造が異なるので、
土の乾き具合は、参考程度になります。
多肉に残った水分を見極める
土がカラカラでも、多肉に水分が残っていれば…
水やりの必要はありません。
残りの水分量を目視できれば、何の苦労もないのですが…
そこを、多肉の状態から見極められるのが、
水やりの上手い人だと思いますし、目指すところでもあります。
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以上、【梅雨&夏】編の、水やり紹介でした。
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