この記事では多肉植物を対象とした…
冬の管理方法(冬越し)のついて紹介します。
多肉は植物は中では、寒さに強いタイプが多く…
管理しやすい傾向ですが、
氷点下を超える気温には、注意しながら管理する必要があります。
記事の概要
- すべての多肉を屋外管理することは厳しい
- 寒さに弱い多肉は「-3℃」が限界ライン
- 屋外で冬越ししたいなら屋内化
- 安全なのは室内への移動
ポイント
多肉植物には、寒さに強いタイプもあれば…
弱いタイプも有り、また凍害は外気温にも大きく左右されます。
そのため、常に屋外で管理することは難しく、
それでも屋外で管理したい場合は、相応の防寒対策が求められます。
ですが、その対策も慣れや手間を必要としますので、
最初の1年目の冬は、氷点下の時間帯は室内への移動がベストとなります。
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◆ 耐寒性は「-3℃」
観葉植物に比べると、寒さに強い多肉ですが、
それでも氷点下になると、凍害を起こす多肉が少しづつあらわれ…
-5℃ともなると、凍結させて多肉を失ってしまうシーズンにもなります。
冬の屋外管理は難しい
管理の手間を考えると、常に屋外で管理したいところですが、
多くの多肉植物を対象とすると、
屋外に置きっぱなしの管理は、かなり厳しい条件となります。
それは、寒さに弱い多肉では…
-3℃より下がると、大なり小なりの凍害に遭ってしまうからです。
多肉植物は、凍結させると1発でアウト
▲ 再生不能な状態【虹の玉】
耐寒性は多肉植物の種類によって異なりますが、
もし芯まで凍らせてしまうと、完全に枯れてしまいます。
多年草のように、春になっても新芽は伸びません。
2つの過信に注意
冬越しの対策としては「防寒施設の構築」と…
「多肉自体の耐寒性を上げる」2つの方法があります。
ここで注意して頂きたいのは、後者のほうで…
過信すると凍って全滅してしまいます。
1 水を切っても凍害に遭う
多肉自体の耐寒性を上げる対策として、
水を切って、水分量を減らす手段が有効です。
ただ、それにも限度があります。
例えば、寒さに弱いタイプの多肉で…
水を切りまくっても、-10℃になってしまったら終わりです。
品種によって、耐寒性のベースは決まっていますので、
対応できない気温まで下がると、
どんなに水を切っていても、凍結して枯れてしまいます。
2 「凍結 ⇒ 解凍」を前提で管理する
▲ before(アエオニウム属)
▲ after
多肉植物は凍ってもダメージを負わず…
元に戻るケースがありますが、
それは、寒さに強いエケベリアなどに限定されています。
凍っても表面上のみで、内部の細胞までは凍らないためです。
多肉植物には様々な種類があるため、
どれもエケベリア感覚で対処すると、一撃(一晩)で逝ってしまいます。
凍結後の対処法
凍結させた場合、その後の対処や…
状態の変化については、こちらの記事をご覧ください。
-3℃までは耐える(条件あり)
多肉自体の耐寒性の話になりますが、
最も寒さに弱い多肉植物でも…
「-3℃までは無傷」で耐えてくれると感じます。
それより下がっても、すぐに枯れてしまうことはありませんが、
無傷では済まず、下がれば下がるほど…
大きなダメージを負い、-7℃では枯死の可能性が非常に高いと思います。
条件が有ります
-3℃でも耐えてくれますが、重要な条件もありますので、
次の項目「屋外での冬越し条件」をご覧ください。
「-3℃」の根拠
では、なぜ「-3℃」までかというと、
それは個人的に、様々な多肉を氷点下の環境に置いて…
凍害の様子を観察した結果、
「-3℃までなら、どの多肉でも大丈夫かな~」と思ったからです。
水やり後でも、購入したばかりの苗でも同じ
こちらも経験談ですが、たっぷりの水やり後でも、
購入したばかりの苗でも変わりません。
ひとまず、-3℃までを目安にして、
もし心配なら「-1℃」までに抑えてください。
注意ポイント
注意して頂きたいのは「-3℃」というのは、
天気予報の最低気温ではなく、実際の現場の気温です。
現場とは、多肉が置かれている場所の気温になるため、
温度計を設置しないと確認できません。
(※ 最高・最低温度計は必需品です)
天気予報と、実際の場所の気温には差がある
天気予報は目安ですので、もちろん差はでます。
-3℃予報でも、-5℃まで下がっていたら…
寒さに弱い多肉は、そこそこのダメージを負ってしまいます。
ズレの無い日もありますが、
念のため、予報より「-2℃」を多く見積もっておいたほうが無難です。
弱い多肉の基準
ところで「寒さに弱い・強いの基準って何ですか?」というと、
個人的に「弱い多肉」と区別する基準は、
-3℃より下がった際の「ダメージの有無」です。
枯死ではなく、ダメージの有無で判断
「弱い = 枯死」ではなく、
枯れないまでも、葉が変色してしまったり、
葉先が枯れた状態を対象としています。
厳密に「-3℃」ではない
例えば、-3℃を少しでも超えると、傷んだり枯れてしまう訳ではなく、
数少ないイレギュラーも含めると…
「-3 ~ -5℃」の間で、大なり小なりのダメージを負います。
特に、葉の薄い一部のエケベリアでは、
-3℃以下から、外葉の先端が枯れるケースがみられます。
トータルすると「-3℃」まで大丈夫
強い多肉の基準
反対に、強い多肉として扱っているは…
こちらも個人的な判断となりますが、
-5℃まで下がっても、ほぼ無傷でいられる多肉です。
もうちょっと頑張って、-7℃くらい大丈夫かと思います。
-10℃越えは、止めたほうが無難
寒冷地のエリアでは、もっと下がりますが、
寒さに強い桃太郎などでも、
-10℃を超える場所での管理は、避けたほうが無難かと思います。
【補足】超絶・強いのはセンペルビウム属など
補足として、-10℃より下がってもOKなのが、
とても寒さに強いセンペルビウム属や…
ミセバヤなどの、冬場に地上部が枯れるタイプの多肉です。
耐寒性リスト
様々な多肉を育てると、それに合わせて防寒対策も調整できますが、
初心者の方にとっては、かなり難しいため…
個人調べになりますが、グループ別の耐寒性のリストを公開しています。
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◆ 屋外での冬越し条件
先の項目で「-3℃」までなら…
「どんな多肉でも耐えられる」と書きましたが、
1つだけ重要な条件を加えなければなりません。
「霜の吹込み」対策が必要
▲ 日中の状態
▲ 夜間はプチプチ+シートで対策
ポイントとしては「-3℃」といっても…
野ざらし状態ではなく、
霜の吹込みから多肉をガードできることが条件になります。
霜(風)を通さない状態で「-3℃」
管理人の環境は、小屋っぽくなっていますが、
規模に関係なく、例えば発泡スチロールの中でもよいので、
すきま風が入らない状態で「-3℃」までと判断しています。
野ざらしの「-3℃」ではなく、四方を囲まれた状態で「-3℃」です。
(※ この違いは重要です)
野ざらしなら、-1℃予報から警戒
▲ 霜が当たった症状
▲ 霜が当たった部分だけ不自然に傷む
直接、霜が当たる野ざらしの状態では、
天気予報が「-1℃」だったら、警戒しておくのが無難です。
-1℃で全滅することはありませんが、
霜に当たると傷む可能性があるためです。
気温次第で、雪は大丈夫
話は少し外れますが、最低気温「-3℃+霜」はダメでも…
最低気温「0℃+雪」は大丈夫です。
ポイントとして、冬越しで注視するのは…
「最低気温」と「霜の有無」になります。
冬越しで大切な考え方
屋外で多肉を冬越しするなら、
「プチプチで覆ったら、もうOK!」では不十分となります。
その理由は、凍害のダメージは…
外気温(最低気温)に大きく影響されるからです。
最低気温の把握が重要
例えば「-10℃」なら、シート1枚を覆っただけでは…
何の役にも立たず、あっという間に凍ってしまいます。
上の写真のように、園芸用のシートを…
1枚だけ覆っても、すぐに外気温と同じになります。
(※ 霜の対策しては機能します)
対策した場所は、何℃になる?
重要なのは「シートで覆えば安全」という考え方ではなく、
「防寒対策をした場所は、いったい何℃なのか?」です。
翌朝、温度計をチェックして「-3℃」までに抑えられていたら、
ほぼ凍害は発生していないと判断できます。
実質、室内化すること
まとめとしまして、どんな多肉でも…
100%凍害から守れる防寒対策としては、
低温&霜の吹込みを防げる、室内のような環境をつくることになります。
野ざらしの状態では凍害に遭いやすいため、
結局は屋外でも、屋内のような環境を構築する必要があります。
多肉を増やすほど、比例して管理の手間は増大
多肉の数が増えれば、対策するスペースは広がり、
使用するシートなどの資材も増加します。
さらに、準寒冷地や寒冷地にお住まいの方なら、
最低気温に応じて、シートを3重4重で覆うことも必須です。
覆いっぱなしは、超・危険
また、覆ったら終わりではなく、
陽が昇ったら、今度はシートを外さなければなりません。
覆いっぱなしでは、冬でも内部が40℃近くまで上昇するからです。
(※ 透明な素材を使っている場合)
この状態は、とても危険で…
陽当たりで放置すると、2月でも夏のように蒸れた多肉が続出します。
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◆ 屋内への移動が安全
気温に関わらず、最も確実で安心な方法は…
0℃以上の室内へ移動させることです。
移動の手間はかかりますが、凍結で多肉を失う心配はありません。
冬越しで悩む必要は無し
室内へと移動させれば、凍結の心配は無くなります。
また管理方法としては、秋の延長となり…
水やりも好きなタイミングで、たっぷり与えても問題なしです。
ルーチンワークは仕方ない
室内へ移動させた場合は「翌朝に外への移動」とセットになります。
(外への移動はサボってもOK)
そのため、毎日のローテーションが発生しますが、
それも管理作業の1つとなります。
日中は陽に当て、寒さにさらす
多肉植物といえば、紅葉が楽しみの1つです。
鮮やかに紅葉させるには…
適度な陽当りと寒暖差が必要なので、
外が0℃以上なら、日中の屋外で管理します。
移動させるタイミング
まず、室内へ移動するタイミングになりますが…
日没後や帰宅後でOKです。
また、氷点下になるまで待っても大丈夫です。
多肉の「しまい忘れ」には要注意
室内のスペースも確保する
室内へ移動させる場合は、室内にもスペースを確保する必要があります。
毎日、出し入れしても苦痛にならない量が…
楽しく管理できる目安となります。
翌日になったら、再び外へ
早朝でも「0℃」近くまで、気温が上がっていれば心配ありません。
曇り・雨の日もあると思いますので、
その場合は、そのまま室内でOKです。
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◆ まとめ
最後にまとめますと、
室内へ移動できる環境の方なら、冬越しは簡単です。
凍害のリスクはありませんので、
好きな時にたっぷりと水を与えて管理できます。
屋外管理は失敗しやすい
凍害で多肉を失ってしまう理由は、
屋外管理での防寒対策不足です。
最低気温によって、防寒具合を見極めないと…
たった1日で深刻なダメージを負ってしまいます。
温度計は必需品
アナログでもデジタルでも構いませんので、
多肉周辺の気温をチェックできる…
最高・最低温度計を使い、当日の最低気温を把握することが重要です。
-3℃を区別する
多くの多肉植物は、屋外管理でも…
-3℃までなら凍害のリスクは少ないと感じます。
ただ、天気予報の「-3℃」ではなく、
さらに、野ざらしの「-3℃」でもありません。
全体をシートなどで囲まれた、室内のような環境で「-3℃」です。
霜に当たると、傷む可能性が高いから
四方八方を囲む理由は、霜から多肉を守るためです。
-3℃に耐えられても、そこに霜が加わると…
ダメージを負ってしまう可能性があります。
寒さに強い多肉でも、霜を避けたほうが無難です。
成功の秘訣は「温度管理」
防寒対策や使う資材は人それぞれになりますが、
肝心なことは「防寒対策として機能しているか?」です。
大寒波が襲ってきても…
耐えられるように作っておかないと、
管理する多肉によっては、どれも大ダメージを負ってしまいます。
準寒冷地、寒冷地のエリアは特に注意
準寒冷地、寒冷地にお住いの方なら、
シート1枚を覆うだけでは、まったく凍害を防げません。
気温に応じて、3枚…4枚…5枚と重ねて掛けし、
内部の気温をキープすることで、はじめて凍害から多肉を守れます。
1年目は屋内へ移動しよう
最後になりますが、多肉の冬越しを…
初年度から屋外で行うのは、かなりリスキーです。
最初はまだ、多肉の数も多くはないと思いますので、
1年目の冬越しは室内に移動して、栽培経験を蓄えるのが得策です。
多肉の耐寒性を知ると、ある程度はコントロール可能
多肉植物には、種類によって耐寒性が異なります。
自宅で管理している、多肉の耐寒性を区別できれば、
屋外と室内で分散することも可能ですので、
覚えておくと、屋外管理も行いやすくなります。
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