こんにちは! イチクラです。
突然ですが、下記の多肉植物は知っていますか?
- Sedum rubrotinctum
- Senecio rowleyanus
- Kalanchoe rhombopilosa
「う~ん、和名で書いてくれればわかる!」という人もいると思います。
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一般名称(和名)にすると…
- 虹の玉
- グリーンネックレス
- ロンボピロサ
いかがでしょうか? 上の2つは、特にメジャーな多肉植物だと思います。
今の時代… 写真・現物を確認しないで、多肉植物を買う人は滅多にいないと思いますが、学名だけで多肉を判断できたら… ちょっとしたオシャレさんですね。
なにかと… 見た目だけで買ってしまう多肉植物ですが、学名にも注目すると、もっともっと多肉の魅力を楽しめるかもしれません!
と…いうことで、多肉植物を中心に「学名」についてまとめました。
独学なので不正確な情報も混じっているかもしれません。恐れ入りますが、ご了承ください <(_ _)>
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学名について
学名の印象というと「とりあえず… 読めない!」という人が多いのではないでしょうか。
上の画像が「熊童子」とは知っていても、「トメントサ」と言われると何のことだかわかりません。
普通に、動植物の世話をしているくらいでは「学名」を知るメリットは、ほとんどないと思います。
なので、面倒なことはスルーして便利な日本の普通名(和名・流通名)で呼んでしまいますよね。
学名は植物に限らず、動物(魚・鳥・昆虫・etc.)、細菌などにもあります。
学名 = 世界共通の名前
学名は、生物につけられた世界共通の名称です。
国をまたいでも、その種を特定できるオンリーワンの名前なので、知ってさえいれば、どの国の人であっても同じ種を共有できます。
読みにくいのは、ラテン語が使われているから
ラテン語は、古代ローマ共和国の公用語として広く普及した古代言語で、現代社会では使われなくなった非実用的な言語です。
日本でいったら… 古文でしょうか?
ですが、日本の学校で古文を学ぶように… ヨーロッパの学生さんもラテン語を学んでいたり必修科目になっているそうです。
ラテン語を起源としたメジャーなワード
読みにくい… といっても意外と英語と似ていて、英単語の5割前後がラテン語由来と言われているそうです。
- アウディ
- アクア
- オカルト
- サーカス
- パトロン【支援者】
- P.S【追伸】
- etc.【エトセトラ】
などなど… たくさんあります。
元がラテン語なので、日本語にすると微妙に違う
同じ多肉でも、生産者や著者によって、カタカナ読みした際の名前の付け方が若干…異なります。
Graptopetalum | グラプトペタルム | グラプトペダルム |
---|---|---|
Sempervivum | センペルビウム | センペルビブム |
Haworthia | ハルオチア | ハルオシア |
Senecio | セネシオ | セネキオ |
正しいラテン語の発音もありますので、興味のある人は検索してみてください。
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学名の付け方は、二名法
学名の付け方には「国際藻類・菌類・植物命名規約」により「二名法」を用います。
二名法は「分類学の父」と呼ばれるカール・フォン・リンネ(1707 – 1778)によって体系化されました。
人間の学名も、もちろんあり…【Homo sapiens】で、しっかりと二名法の法則に従っています。
二名法のフォーマット
[属名]+[種小名]
属名 | その植物が属するグループ名 |
---|---|
種小名 | 植物のグループ名。種小名には、その種の特徴や地名、命名者などが使われる。 |
- 属名、種小名は、地の文と明確に区別できる異なる字体(イタリック体など)で表記する。
- 属名は最初の1文字のみ大文字で表記し、種小名はすべて小文字で表記する。
セダム属の「乙女心」を例にすると
Sedum pachyphyllum
「Sedum pachyphyllum」このワードさえ知っていれば、誰でも上の写真の植物が頭に浮かびます。日本では「厚葉弁慶」という和名より、流通名の「乙女心」のほうがメジャーです。
種小名だけではダメ
種小名が同じ名前になることもあるので、【属名+種小名】で記載しなければなりません。
- Sedum pachyphyllum / 乙女心
- Graptopetalum pachyphyllum / パキフィルム
Graptopetalum pachyphyllum
グラプトペタルムのパキフィルムは、そのまま「パキフィルム」という名前で出回っています。
属名 = グループ名
属名 = ユリ(百合)と同じ感覚です。
ユリは「色々なカタチがあるな~」と気づいても、詳しい名前がわからないので「ユリって言っとけば間違いない!」という人も多いのではないでしょうか?
例えば… ヤマユリ
一度は、見たことのありませんか? でも… ヤマユリという名前を知らなければユリって言っちゃいますよね。
学名では、ユリ属の「ヤマユリ」なので
Lilium auratum
英名でも有名な「Lily」は、学名の「Lilium」由来だとわかります。
このように、多くの植物や昆虫は、属名の部分が通称として呼ばれています。
なので、種小名の部分で言ってしまうと… そのカテゴリーを趣味や仕事にしている人通しでないと、なかなか通じません。
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亜種があれば、三名法になる
二名法では【属 + 種】 となりますが… その生物に亜種(subspecies)が存在する場合は「種小名」に続き「亜種小名」を付けて三名法になります。
[属名]+[種小名]+●●+[亜種小名]
そして、亜種とわかるワードを「亜種小名」の前に追加します。それが、下記になります。
ssp. [or] subsp | 「subspecies」の略で、亜種のこと。地理的に隔離され、その隔離された地域で生活していくうちに、大きさや色が変わっていった生物。 |
---|---|
var. | 「varietas」の略で、変種のこと。同一種だけど、地理的な分布などで違いがあるもの。 |
f. [or] fa | 「folma」の略で、品種のこと。基本的な種とほぼ同じで、1~2点の形態(色)などが基本種と区別できるもの。 |
【品種】は… 多肉植物では「斑入り」や「綴化」などの場合に付けられるようです。
動物は、亜種のみですが、植物は変種【var.】と品種【f.】があります。
多肉植物の、亜種・変種・品種の例
コチレドン属 子猫の爪 | Cotyledon tomentosa ssp. ladismithiensis |
---|---|
オロスタキス属 岩蓮華 | Orostachys malacophylla var. Iwarenge |
エケベリア属 コロラータ・ブランデティ | Echeveria colorata f. brandtii |
例えば…
コチレドンの「子猫の爪」は、「熊童子」を一回りほど小さくした外観なので、多肉植物を知らない人が見たら、子供と大人の差くらいにしか感じないと思います。
ですが、学名を見るだけで(亜種・変種・品種の区別は曖昧なところがあるようですが…)元になった種との繋がりは、よく解ります。
上記の3つも、店頭に並ぶ時期がありますので探してみてください。
元となった生物には、正確な学名がある
再び「子猫の爪」の例ですが…
【Cotyledon tomentosa ssp. ladismithiensis】は「種小名」の後に「亜種小名」が記載されているので、「子猫の爪」は「熊童子」より後に発見されたことが分かります。
ですが、【Cotyledon tomentosa】になってしまうと、亜種の存在は確認されていないことになります。
なので、亜種が記載された場合、元になった生物には…
【Cotyledon tomentosa ssp. tomentosa】として、「種小名」がssp.の後に繰り返されます。
動物は、亜種だけなのでssp.は付けません
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学名を「普通名」で呼ぶデメリット
どこの国でも同じだと思いますが、馴染み深く簡単な母国語になったり、それっぽい流通名になったりします。
このような一般名称になってしまうと「種小名」や「亜種小名」が消えてしまいます。
販売されている多肉植物の苗(ポット)によっては、属名すら無い場合もあります。
結果… その多肉植物が「種なのか… 亜種なのか…」わかりませんし、種小名の意味も不明なままで、何年… 多肉を育てていても一向に知識が増えません。
…といっても、普通に育てるぶんには、困ることは少ないと思うので、デメリットには感じないかもしれません。
間違った名前で流通している多肉植物もある
現在「ツルギダ(turgida)」として出回っているエケベリアは、グローリー(Glory)という雑種で、間違ったまま普及しています。
ソース: 多肉植物エケベリア Guide To Echeveria
大和錦に、似ているけど…?
「ツルギダって、大和錦に似てるな~」と感じた人も多くいるのではないでしょうか?
ツルギダと呼ばれているグローリーは、片親が「大和錦」なので、その特徴がでています。
せっかくなので、ネームプレートを学名に変更です! 達筆な人ならオシャレ観がアップしそうですね。
実は… 出回っている「大和錦」も怪しい存在
大和錦の学名は【Echeveria purpusorum】ですが、店頭で販売されている「大和錦」の多くは「ディオニソス【Dionysos】」という園芸品種です。
上の写真も、ディオソニスで雑種なのですが… 親が「大和錦」です。
このように、ネームプレートに書かれている名前だけでは、その多肉の出自も分かりません。
園芸品種が、学名を難解にさせる
さんざん… 学名について書いてきましたが、最後は園芸品種の話になっていまいました。先ほどの、グローリーやディオソニスも園芸品種になります。
二名法は、どこいったの?
学名:Echeveria ‘Glory’
園芸品種を学名で表記すると… 上記のように、二名法のルールから外れています。
学名と同じように見えますが、「‘ ’」で囲まれている名前は、種小名ではなく栽培品種名になります。
園芸品種については、別の記事でまとめました
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いかがですか?
特に… 多肉植物は、見た目で判断されてしまうと思いますが、学名を知ることで… 育て方だけではなく知見も広がると思います。
園芸品種が混じってくると、学名の表記に混乱してしまうと思いますが、ぜひ… 学名も含めて多肉植物を楽しんでみてください!
参考文献
- 多肉植物全書 All about SUCCULENTS
- 多肉植物エケベリア Guide To Echeveria
- ヴィジュアル版 植物ラテン語事典
- ときめく多肉植物図鑑 (ときめく図鑑)
- 多肉植物検定 公式テキスト
- 眠れなくなるほど面白い 図解 植物の話