こんにちは! イチクラです。
多肉植物に付けるネームプレートを「英語にたらオシャレだから学名表示にしてみよう!」と思ったのですが、大変でした。
「なんか… 英語やローマ字で書きたい!」と安易に考えると…「学名って何? 栽培品種って何?」ってところから始まり、泥沼にハマっていく気がきます。
多肉植物の情報も少ないので自分で区切りをつけないと… いつまでも終わらないと感じます。
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多肉植物の名前のパターンは、色々ある
販売されている多肉植物には、いくつかの呼び方(名前)があります。
❶ 学名 | ❷ 栽培品種名 | ❸ 普通名(和名・流通名) |
---|---|---|
国際植物命名規約 | 国際栽培植物命名規約 | なし |
世界で通じる | 世界で通じる | 日本のみで通じる |
学名と栽培品種名は、世界で通用しますが… 普通名は自国のみで通用します。
熊童子の場合
学名:Cotyledon tomentosa
日本名:熊童子
英名:Bear’s paw
学名はどの多肉植物にも付いていますが、普通名は… 和名であったり流通名になります。
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学名・栽培品種名が知りたい場合は…
書籍や図鑑・ネットしかない
販売されている多肉のネームプレートには、普通名(和名・流通名)が付いているだけなので、ほぼ… 学名は追えません。
稀に、学名や栽培品種名が記載されています。
左:クラッスラ属エスタニョール
右:セダム属カメレオン(斑入り)
書籍や図鑑
サボテン以外の多肉植物になってしまいますが紹介します。
サボテン以外の多肉植物の属グループを広くカバーしている1冊。ですが、日本で人気のあるベンケイソウ科の原種や栽培品種は、それほど掲載されていません。
エケベリアなら、この1冊。エケベリアだけで1,500種が掲載されおり、交配式や別名も載っています。
国内web
サボテンも含め2万種以上の多肉植物の写真と学名・栽培品種名が、まとめられています。
学名は未掲載ですが、多肉ごとの注意点や栽培方法が豊富に掲載されています。
国外web
「多肉植物全書 All about SUCCULENTS」にて紹介されているデータベースサイト
「多肉植物エケベリア Guide To Echeveria」にて紹介されているデータベースサイト。ベンケイソウ科だけですが、雑種や栽培品種も掲載されています。
おすすめ
webの「多肉図鑑 pukubook」には、下記のメディアから転載されていることも多く、学名や栽培品種名を調べるが容易です。
- 多肉植物エケベリア Guide To Echeveria
- International Crassulaceae Network
オフィシャル的に、まとめられた書籍やwebは存在しない
原種の学名くらい、オフィシャルなサイトがあってもよさそうですが、そういったサイトも存在しないようです。
学名と栽培品種名において… 素人では書籍やwebからの情報を、そのままアウトプットするしかありません。
なので… それが正式な名前なのか? なかなか判断できないと思います。
学名・栽培品種名 or 普通名
原種であれば、どのメディアでも学名は同じことが多いのですが、栽培品種になると… 怪しくなってきます。
多肉植物全書 All about SUCCULENTS
には、下記のように書かれています。
ところで、植物の学名には植物学者による変更が加えられることが多い。旧名に慣れた一般の園芸家や栽培家とは見解が異なることもあるかもしれないが、本書において筆者は、信頼できるデータベース www.theplantlist.org 記載の学名を採用することとする
ということで… 書籍や図鑑でさえも… 正式名と現物の組み合わせを見つけるには、相当… 苦労しているのではないかと思います。
多肉植物エケベリア Guide To Echeveria では・・・
同じ交配式の別種や同じ品種にいくつもの名前がついて流通し、多くの交配種が世界中を賑わせています。そのような背景を受けて、現在では逆に名前の混乱が問題になっています。
こちらの書籍を見ると、日本でもいくつかのエケベリアが間違った名で流通していることがわかります。
名前の混乱を避ける為に「国際栽培植物命名規約」や「国際栽培登録機関」が設けられていると思うのですが、多肉植物の場合は… どれだけ機能しているのか… 不明です。
国際栽培登録機関とは?
栽培品種名を登録し管理する機関で、世界中で70前後が運営されています。「〇〇協会」等の名前が付いていて、特定の属グループや植物の登録を担当しているようです。
日本では「日本ハオルシア協会」が国際栽培品種登録機関として指定されています。いくつかのハルオチア品種の商標登録も行っており、無断で品種名を使うことはできません。
また、「苗登録行政機関」も各国やエリアで運営されています。日本では、農林水産省の品種登録で確認できます。
ですが…
在来種や雑種だったり、登録機関も運営されていない場合では、適当に流通名を付けて販売してしまうと思います。
「発表」と「正式発表」と「登録」
書籍等で学名の欄を見ていると、様々な形式が見られます。
Echeveria laui | 学名 |
Echeveria ‘Laulindsa’ | 栽培品種名 |
sedum cv | セダムの栽培品種 |
sedum 詳細不明種 | 名無しさん |
このように、学名や栽培品種名が付いている種もあれば「名無しさん」もあります。
「名無しさん」から脱出するには、印刷物で発表される必要があるようです。命名規約には「発表」の状態から「正式発表」される段取りとして2パターンあるようです。
発表 ⇒ 正式発表
書籍などの印刷物に出版したり植物学機関に対して配布する。この段階では、正式な名前ではないらしく、その後に様々な条件をクリアすると正式発表となるらしい。
登録 ⇒ 正式発表
国際栽培登録機関や農林水産省の苗登録が完了すると、正式発表になるらしい。
曖昧な表現になってしまいますが、発表されないと学名や栽培品種名が付かず… 流通名で呼ばれてしまうのだと思います。
また、発表されたことさえ知らない業者や一般人も、大勢いると思います。
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謎の多肉植物
普通名やカタチはスーパーメジャー級ですが、学名がはっきりしない多肉植物もあります。
どれが本当の学名(栽培品種名)か? わからない多肉
書籍によって、学名欄の名前が異なります。
エケベリアの定番… 七福神
- Echeveria secunda / セクンダ
- Echeveria ‘Imbricata’ / インブリカータ
- Echeveria ‘Shichifuku-Jin’ / 七福神
七福神の原種となるセクンダには、様々なタイプがあるようで「多肉植物エケベリア Guide To Echeveria」から引用させていただくと…
セクンダは数十種類のサイトタイプ(染色体・産地別違い)の大家族からなる
‘Shichifuku-Jin’
セクンダの中でも、薄い幅広の葉と丈夫な性質を持ち、日本で広く愛されている品種。インブリカータだという説もある
‘Imbricata’
日本への帰化植物となっている七福神と同種ともいわれているが、すこし違うようだ。
ということなので、七福神は栽培品種名で【Echeveria ‘Shichifuku-Jin’】が最適だと思われます。
黄色いセダム…「銘月」と「黄麗(月の王子)」
「銘月(めいげつ)」
「黄麗(月の王子)」
「銘月」にも「黄麗(月の王子)」にも、学名が【Sedum adolphi ‘Golden Glow’】と付いている場合があります。
International Crassulaceae Network での記述
ヨーロッパでは「黄麗(月の王子)」に誤ってセダム・アドルフィの学名が付いているそうです。
また、【x Graptosedum ‘Golden Glow’】として紹介されていることもあるそうですが、これも誤りでセダム間の雑種だそうです。
International Crassulaceae Network (ゴールデングロー)
なので、「黄麗(月の王子)」が‘Golden Glow’っぽいですが、セダム通しの雑種なので、学名的には… 下記のようになるのかもしれません。
- 銘月 / Sedum adolphi
- 黄麗(月の王子) / Sedum ‘Golden Glow’
どちらもカタチはユニークなので、何かと見間違う可能性は低いと思います。また、エケベリアの栽培品種にも’Golden Glow’があります。
流通名で浸透する多肉植物
スノーキャンディ
カクトロコさんで買える「スノーキャンディ」という奇麗な多肉植物があります。
詳細を引用させていただくと・・・
学名 Sedeveria 詳細不明種
カクト・ロコの農場で出現した樹氷の葉変わり品種です。
作出者さんでも詳細不明種ということなので、現状では栽培品種名は付かずに流通名になります。
オーロラブルー
名前的に…「虹の玉」に似ているオーロラかと思いきや、ロッティにそっくりです。ネームプレートを無くしたら、ロッティになってしまうかもしれません。
そして、そのロッティも詳細が不明な種で… オーロラブルーも流通名だと思われます。
大型パキフィルム
パキフィルムを店頭で見つけたついでに… 大型パキフィルムなる多肉も発見しました。
学名的には、どちらも【Graptopetalum pachyphyllum】で、「大型パキフィルム」は流通名でしょうか…?
セダムの「乙女心」も種小名は、パキフィルム
- Sedum pachyphyllum / 乙女心
- Graptopetalum pachyphyllum / パキフィルム
日本では「乙女心」を学名通りにセダム・パキフィルムと呼ぶ人は、あまりいないと思います。
多肉植物の名前を、英語やローマ字で書くには?
学名や栽培品種名が判明していれば、その通りに書くだけですが、流通名なのか… 栽培品種名なのか… わからない多肉もあると思います。
例えば…「乙女心」の大型種といわれる「恋心」は、詳細不明種だと思います。
なので【sedum ‘koigokoro’】のように栽培品種名っぽく「‘ ’」で囲っていいのかは不明ですし、【sedum cv】とするのも、物足りなさを感じます。
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マイルールで、いいと思う!
自分の庭で育てているぶんには、完璧な名前を求めなくてもいいと思います。
問題は…「恋心」のような流通名で呼ばれる詳細不明種で、これをどのように書くか迷ってしまいますが… 不明はどうしようもないのでマイルールでいいと思います。
- sedum “koigokoro” ダブルクォーテーション
- sedum koigokoro 赤文字
などなど…
自分のなかで、普通名(和名・流通名)の場合をマーキングしておけばOKではないでしょうか。
それにしても… 植物の名前は疲れます。やっぱり… 普通名は便利ですね!