この記事は、カランコエ属 月兎耳【つきとじ】の栽培記録です。
その名の通り、うさぎの耳のようなフォルムをしており、
滑らかな毛で覆われているのも特徴です。
また、数多くのバリエーションも流通していて、
カランコエ属を代表する種類となっています。
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◆ 基本情報 | 月兎耳
科 | ベンケイソウ科 |
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属 | カランコエ属 |
学名 | Kalanchoe tomentosa |
流通名 | 月兎耳 |
- |
生育期 | 秋・春 |
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価格帯 | 300円前後 |
栽培難易度 | ★☆☆ |
増やし方 | 剪定&挿し芽 |
葉挿し |
月兎耳は原種
◎ マダガスカル島
月兎耳はマダガスカル原産の原種です。
葉の産毛は、ビロードのような滑らかさで…
造花っぽく見えるかもしれませんが、
近くで観ると、生の植物の生命力を感じます。
ネット販売
カクトロコ | 日本花キ流通 |
ストア内検索:月兎耳 |
※ 売り切れの場合あり
バリエーションが豊富
▲ 星兎耳
上の写真は「星兎耳」という名前ですが、
月兎耳とよく似ており、初見では区別が付きません。
葉の先が、ややトゲトゲしているのが月兎耳のようです。
他にも多くの種類が流通
他のうさぎシリーズとしては「黒兎耳」や「ジャイアントラビット」、
「白うさぎ」「黒うさぎ」などのも流通しています。
また、ネーミング的には、兎のみならず…
「テディベア」や「孫悟空」といった熊や猿、パンダも混じっています。
どれも寒さには弱い
一見、毛で覆われていて暖かそうでも、
多肉の中では寒さには弱く、
-3℃を下回り始めると、かなり厳しいかと感じます。
(※ カランコエ属はすべて寒さに弱い)
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◆ 季節の変化
▲ 4月下旬
▲ 8月下旬
▲ 10月中旬
▲ 2月下旬
葉色の変化は、ほとんど無し
月兎耳をはじめは、うさぎシリーズは…
年間を通して、葉色の変化はほとんどありません。
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◆ 購入時の写真と
1年後の比較
購入時の写真
購入日:2020.4 / 7.5cmポット
カクトロコさんの月兎耳です。
2月の購入ですが、あまり葉色は変わりません。
脇芽が付きやすく、次第に幹立ちします。
購入から約1年後の比較
▲ 凍害により枯死
▲ 葉挿しの苗は助かる
購入した親株は、寒さで枯らせてしまいましたが、
葉挿しから繁殖させていた苗を…
別の場所で育てていたため、全滅は回避です。
寒さは苦手なので、寒波には注意して管理します。
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◆ 夏と冬の管理目安
冬の管理(屋外)
弱い -3℃まで |
強い -5℃まで |
とても強い 凍害なし |
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〇 | - | - |
多肉植物全体で比べると「弱い」タイプ。
目安としては「-3℃」までなら、凍害の影響はなし。
-5℃まで下がると一部で凍結がみられ…
-7℃では全体が凍結し、再起不能かと思います。
霜除け & 風除けは必須
屋外での管理では「霜除け&風除け」は必須です。
どちらかが未設置の場合では、上記の管理気温まで耐えられず…
霜害や凍害によるダメージを負いやすくなります。
梅雨 & 夏の管理
▼ 遮光率 | ▼ 水やり | |
---|---|---|
梅雨入り ~ | 20~50% | 控えめ |
梅雨明け ~ 9月中旬ころ |
50% | 控えめ |
※ 遮光率 & 水やりは、目安としてお考えください。
※ 水やりは、多肉の状態を確認しながら調整ください。
注意ポイント
遮光
風通し
病気・害虫
雨ざらし
徒長(水やり)
高温(猛暑日)
高温・乾燥に強いタイプ。
徒長しやすいので…
水やりは「量 or 回数」を減らすのが安全。
また、雨ざらしも避けたほうが無難です。
葉焼けする場合は、遮光も必要となります。
◆ 栽培メモ
1 寒さに注意して管理
カランコエの栽培は難しくありませんが、
寒さに弱いタイプの多肉です。
同様のグループとしては、アエオニウム属やクラッスラ属、
コチレドン属と同じくらいの耐寒性となります。
-3℃が目安
多肉の中では寒さに弱いほうですが、
それでも「-3℃」くらいなら耐えてくれます。
これより下がると危険ですので、
氷点下になる場合は、室内に取り込んだ方が確実に安全です。
2 夏型の多肉ですが、春秋型と変わらない
うさぎシリーズをはじめ、カランコエ属は…
夏に成長する「夏型」の多肉となります。
ですが、栽培の感覚としては、セダムやエケベリア属と同様に、
春秋型の多肉して扱って問題ありません。
春~秋にかけて、自然と成長してくれます。
夏に強い訳ではないので注意
多肉植物は高温多湿を嫌いますので、
夏型のカランコエといえど、他の多肉と同様に…
夏の管理には注意します。
病気・害虫には強い印象
月兎耳をはじめ、うさぎシリーズは…
病気・害虫に強い印象です。
オルトランDXを土に混ぜておくだけでも、十分かと思います。
3 日照不足で伸長しやすい
このようなタイプの多肉も、日照不足かつ…
水を与え過ぎると、幹が間延びしたり、葉が伸長するので、
梅雨時の管理は、水やりを控えめにしたほうが無難です。
4 葉挿しは得意なタイプ
うさぎシリーズの「葉挿し」は高確率で成功すると感じます。
100%ではありませんが、
10枚取れば、5枚以上は上手くいくのではないでしょうか。
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◆ 栽培記録
2020.4 ~
主な栽培環境
● 陽当たり(晴天時)
5~7時間程度 / 1日
● 遮光(目安)
期 間 | 遮光率 |
---|---|
4月上旬 ~ 梅雨明け | 約20% ~ 約50% |
梅雨明け ~ 10月上旬 | 約50% |
10月上旬 ~ 11月下旬 | 約20% |
11月下旬 ~ 4月上旬 | なし |
● 雨対策 有り
年間を通して、基本的に雨で濡れることはありません
● 凍害(霜・風)対策 有り
冬季の夜間は、基本的に霜・風に当たることはありません
使用する土、肥料、農薬
● 植替えの土
多肉植物の土【プロトリーフ】
(※ 元肥を含む)
● 追肥(目安)
植替えから1年後に適量
● 殺菌・殺虫剤(目安)
薬剤名 | 使用量 |
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オルトランDX粒剤 | 毎年、春に1回 |
ダコニール1000 | 毎年、軽く散布 |
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2020-春・夏
栽培記録
春 シーズン / 2020
4月上旬 月兎耳を購入
購入日:2020.4 / 7.5cm ポット
カクトロコさんの月兎耳をネット通販で購入。
ポットには2株が植えられています。
植替えと葉挿し
ちょっと窮屈になっていたので、
植わっている2株を別々のポットに分けます。
また、いくつかの葉で「葉挿し」にチャレンジ。
5月中旬 ちょっと放置
普段では抜いた株は、すぐに植え付けてしまうのですが、
そのまま忘れてしまい、10日ほど放置。
さらに、横に寝かせていたので…
幹が曲がって固定されてしまいました。
やっと植え付け
多肉は乾燥に強い植物なので、
長期で放置しても大丈夫なのですが、
やはり、そのぶんフォルムは崩れてしまいます。
水を吸えば、ピンと戻る
水を吸うと、幹はまっすぐに戻りますが、
葉っぱは少し戻りづらい感じがします。
葉挿しの様子
2週間後、先行して生えてきたのは根っこ。
この時点では、ほとんど芽は確認できていませんが、
このまま様子を観ていきます。
6月上旬 発芽を確認
さらに2週間後には、芽のサイズも目立つようになり、
葉を取ってから、約1ヵ月後の状態です。
今回の結果は5/5枚で、成功率は100%となりました。
植え付け
▲ まずは培養土(肥料を含む)
▲ 赤玉土で埋める
【プラグトレイは1マス:4cm】
だいぶ、根が伸びているので…
根を隠すように、2回に分けて植えています。
下は肥料入りの培養土で、上側は葉が飛ばされないよう…
「重し」の代わりと、保水性を重視して赤玉土を使用。
(※ 葉挿しでも、土はお好みでOK)
葉の植え付けは、いつでも大丈夫
管理人は今回のように、発芽を確認したら…
植え付けを行いますが、
葉を取った後、すぐに植えてしまっても大丈夫です。
大きく育ってくる
さらに3週間ほどが経ち、赤玉土に隠れていた芽も…
顔を覗かせ始めています。
夏 シーズン / 2020
7月上旬 徒長に注意
月兎耳を含め、うさぎシリーズも徒長しやすい多肉です。
特に日照時間の少ない梅雨時では、水を控えて管理します。
そうすれば、幹も葉もビヨーンと伸びず…
綺麗なフォルムを保ってくれます。
他のウサギシリーズと比較
中央が月兎耳になりますが、
両脇のウサギと比べると、やはり伸びています。
8月下旬 夏の様子
カランコエは「夏型」の多肉とされていますが、
栽培した感じ、夏だからといって…
急激に成長する雰囲気はなく、いたって普通に育ちます。
葉挿しの様子
葉挿しの葉っぱは、親の葉が残っている場合は、
そこから、水分と栄養分を補給できるので…
当分は水やりを行わなくても育ってくれます。
ですが、適度に水やりをしたほうが…
肥料を吸えるので、成長スピードは速いと感じます。
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2020-秋・冬
栽培記録
秋 シーズン / 2020
10月中旬 秋の様子
引き続き、パッとしないフォルムですが、
これから先は、寒くなるにつれて徐々に整っていきます。
葉挿しの様子
葉挿しの苗は、7月の写真とあまり変わらず、
無難に夏を超えた印象です。
冬 シーズン / 2020
12月中旬 冬の様子
だいぶ寒くなり、外側へと散らばっていた葉も…
中心に集まりだし、ロゼットは整ってきそうな感じです。
1月上旬 凍害発生
ちょっと油断してしまったせいか、
凍害により、左の株は完全にアウトです。
こちらも株も、かなりのダメージ
一見、大丈夫そうに見えましたが、
すでに葉先が傷んでおり、そのまま枯死となっています。
葉挿しは助かる
葉挿しの苗は、別の場所で管理していたため、
寒さの影響を受けずに助かっています。
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2021-春~冬
栽培記録
4月上旬 プラグトレイ栽培
ここからは、残った葉挿しの苗を紹介していきます。
6月上旬 追肥を行う
植え付けから約1年後ということで、
緩効性の肥料を追加で行っています。
10月中旬
成長期といわれる夏を過ごしてきましたが、
サイズ的には「やや大きくなったかなぁ」程度です。
2月上旬
引き続き、サイズはあまり変わらず、
やや冬顔っぽい葉色になった感じです。
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2022-春~冬
栽培記録
2月上旬 前回から1年後
2022年は、撮った写真が行方不明になってしまい…
残っていたのは、前回から1年後の写真だけでした。
比べてみると、今年度の成長には目を見張るものがあり、
「急に大きく成長したな~」という印象です。
植替えも追肥も行わず、水やりのみ
この1年間は、植替えも追肥も行わず、水やりだけで管理しています。
普通なら、とっくに肥料は切れていて、
根を伸ばすスペースも無いはずですが、
時間は掛かっているものの、ゆっくりと大きく育っています。
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2023-春~冬
栽培記録
8月下旬 夏の様子
さらにプラグトレイのまま、夏になりました。
引き続き、良好な状態で育っています。
花芽は付けない
現在まで花芽を付ける様子はありません。
元々、開花ペースが遅い種類なのか?
それとも、栄養不足で花芽を付けないのか?
どちらなのかは、よくわかりません。
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最終更新(’23.12)
▲ before(20.6)
▲ after(23.12)
さらに植替えをスルーして、12月。
葉っぱを植え付けてから、3年半が経過です。
途中でポットへ植え替えてもよかったのですが、
手間とスペースの問題で、そのまま放置する結果となりました。
根の様子をチェック
やはり、どれも根鉢になっており…
特に左側の株は、がっつりと絡み合っています。
根毛から水を吸う
ちなみに、水を吸ってくれるのは、
茶色くて強度がありそうな側根ではなく、
その先にワサワサと生えている、白っぽい根毛になります。
他の多肉と比べる
葉挿しから3年半が経過していますが、
この土の量で、ここまで大きく育ってくれれば…
多肉の残土問題も、だいぶ楽になりそうです。
少量の土でも大きく育つ
こちらもプラグトレイで、2年以上は管理している多肉です。
多肉栽培において、根・土・肥料の関係は奥が深く、
マニュアル通りに育てるより…
自分でアレンジしたほうが、綺麗に育つ場合もよくあります。
根の管理は、それほど意識しないで大丈夫
また、多肉の根の管理は「ゆるい」ので、
根鉢を放置しても大丈夫ですし、適当にブチブチと切っても大丈夫です。
ただ、最低限の土と肥料で、根の力を100%発揮させるには…
奥深い何かがあるんだと感じます。
いつ、植え替えるのか?
株は根鉢になっていますが、状態としては良好なので…
この後は、好きなときに植替ればよいと思います。
もし、下葉の枯れが目立ってきたら、
そこで植替えを行ってもOKですし、
また、より大きくしたいなら、少し大きめなポットに植替えをします。
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以上、カランコエ属「月兎耳」の栽培記録になります。
他のうさぎシリーズも、性質と育て方は同様ですので、
ぜひ、お好みの種類を探して頂ければと思います。
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